ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『錬金術師』『WAR & POLYRHYTHM REGION 2014 / NEW DCPRG SPRING CIRCUIT』
大儀見さんの不在に加え大村さんが欧州ツアー中でリハ不参加と言う環境で新曲をドカンドカンとやるものだから、あちこちであれ?あれ?となってる様子が見えたのは面白かった。一曲目から混乱があったようで、本来類家くんだったらしいところで坪口さんがソロに入る。譜面を何度も見る類家くん、高井くんや研太さんに「今ここだよね、ここ俺のソロだよね…?」と確認しあっているが坪口さんはガンガン弾いてる。気付いた菊地さんが坪口さんの様子を見つつ類家くんへサイン、その後ソロへとキューを出す。あと曲中坪口さんが小田さんのところへテクテク歩いていって譜面を指し乍ら打ち合わせしてたりとか、珍しい光景がぼちぼちと。毎度のこと乍ら演奏が停まることはないし、軌道修正もそのなかでやっていく。

読み書きが浸透してから格段に化けたのは千住くん。今回の「Catch 22」はPerc不在と言うこともあり教順さんと千住くんのやりとりで起点や分岐点を作っていたんですが、複合リズムでガチッとやりとりしてる!全然違う!こういうやりとりって今迄は教順さんが作っていく様子を見乍ら千住くんが隙間を埋めていくって感じだったんだけど、今回は感覚を外した意識上で噛み合ってる。それに伴いアウトロのソロにもリズムのなまりが表出してた。ひぃーとなる。

ビバップと言うよりハードバップ要素が強くなった印象。スウィングなリズムもあり、ジャズの年譜を見ているような気分にもなる。DCPRGで?とも思うが、それらをDCPRGマナーでやっている、と言うところがミソで、スウィングがファンクだったりPerc不在なのにハードバップを連想すると言う混血っぷりです。坪口さんが弾いていたフレーズを小田さんが弾いたり、ツインヴォコーダー(!)になったり、と言った細かい仕様変更は数知れず。センターにある筈のPercがなく、コンダクターを中心に田中/千住、坪口/小田がシンメトリーのヴィジュアル、それと相反する音のアシンメトリー。音でロールシャッハテストを受けている気分。そしてもうひとりのセンターアリガス、恐怖の安定感。

菊地さんがあんな長く弾いたkeyソロも新機軸か(「ネルソン・マンデラ」)。それがまた「泣きたくなる様な安っぽい話し」にも匹敵するようなメロウなリフレイン。こういう形で甘いメランコリーが顔を出したかと困惑。泣きそうになる。指揮官の背中を見詰める。そしてCDJがなかった。新しいシーズンに入ったと判断したうえですが、前シーズンには言葉が溢れていた。アミリ・バラカのアジテーション、SIMI LABとの交流を重ねた日本語と英語の混血ライム。

今の編成で初めて演奏された「Hey Joe」の爆音は、『THIRD REPORT FROM IRON MOUNTAIN』じゃないのか。アナウンスされてたとは言えこのときのフロアの待ってましたっぷりすごかったですね。だってあれよ…これ演奏されたの、七年前DCPRGが一度終了したとき以来だよ。パートチェンジしてやったグダグダのやつ……。そりゃギャー!とか言うよ。

菊地さんがステップを踏む。踊る。そしてぽろっとあの表情を見せる。ああ、この顔好きなんだ。

アンコール、「当日迄どうなるか判らないし、怖くてずっと振り向けなかった。でも、」とフロアを見渡しててへへと言う笑顔。「本当はここに聖なる楽器があるんですが、」と大儀見さんのことを話す。「ピンチはチャンス」とぽつり。そして「カヴァーなんだけどこれも長いから、アンコールは一曲になっちゃうかなー。では『Talking Book』から一曲、」と始まった「Tuesday Heartbreak」。時間の都合でとは言っていたけれど、「Mirror Balls」は彼の帰還迄おあずけのようにも思う。琴線に触れるどころかかきならされました。帰り難くてフロアをうろうろする。

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セットリスト(公式にあがったので曲順訂正しました・5/29)

01. 新曲(ロナルド・レーガン)
02. circle/line
03. Playmate at Hanoi
04. 新曲(ゴンドワナ・エキスプレス)
05. 新曲(ネルソン・マンデラ)
06. Catch 22
07. 構造1
08. Hey joe
encore
09. Tuesday Heartbreak(Stevie Wonder's cover)

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(「Mirror Balls」は東京以外ではやったようで。ハハハ、過剰にセンチになっていたのはこっちだったか)


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05月24日(土)
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