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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『ユア・マイ・サンシャイン』
実話をもとにした作品です。監督のパク・チンピョはドキュメンタリー出身とのこと。まるで大映ドラマのように次々とふりかかる不幸はともすれば滑稽なものになりがちですが、役者の的確な演技を得て、登場人物たちをリアルに立ち上がらせています。監督のインタヴューによると、モデルとなったふたりに取材したとき「なんとか映画のなかだけでも、ふたりを祝福してあげることが出来ないだろうかと思った」そうです。
その言葉のとおり、作品には監督の優しい視線が透徹しています。ウナと寝る前、バスルームでブリーフランニング姿のまま踊ったりうろうろするソクチュンのシーンが相当面白いんですが、こういう「他人が見ていない、当事者しか知らない」場面を覗き見せる視線もひたすら優しい。ふたりの幸せな日々はその風景とともに美しく、丁寧に描かれています。ふたりしか知り得ず、誰にも邪魔されない世界。幻ではなく確固とした現実であるその思い出は、困難に直面したふたりの心のよりどころになる。その幸せな日々を取り戻すため、ふたりは日々を生き延びるのです。
あの土地でこれからも暮らしていけるのか。発症したらどうなるのか。問題が山積みのまま物語は終わりますが、再会したふたりの笑顔には、ただただ祝福と明るい未来を祈らずにはいられません。
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それにしてもジョンミン兄さんまじですげえ…撮影中体重を15kg前後増減したデニーロアプローチだけでもすごいんですが(無理な減量で毛が抜けたってよ……)、あのかわいらしさはそういった所謂“役作り”だけで出せるものではないわ。演じているのに当人の本質がにじみ出る、これぞ役者の魅力ではなかろうか。ウナを出前に呼び出して「ただ休んでほしいんです」と言ってるのに結局寝ちゃったり、もらったハンカチでマスターベーションしちゃったりと、身体は立派な大人の男性だわねえってな描写がしっかりあるのにギリギリかわいいんですよ(笑)。夢物語ではない映画を成立させる重要なファクターになっている。その流れを通過して、初めて商売ではなくふたりが寝るシーンのかわいらしいことといったら!なまなましーのにかわいい!
ウナを演じたチョン・ドヨンさんがまたすごくて。過酷な境遇で暮らしひとを信じられなくなっている女性。思いとは裏腹な言葉を吐き、語らず尖らせた唇に心を滲ませる。初めて牛乳を飲むシーン、逮捕後ソクチュンと初めて面会するとき、鏡の前で笑顔を作るシーン。言葉よりも雄弁な表情が心に残りました。
ここでノベライズとコミカライズの話になるんですが、マンガ版ではソクチュンは童貞と明記されている。小説では純愛を強調するためか、その辺りの描写はスルーされていました。そしていちばん生々しいのに映画本編のラブシーンがいちばんかわいかったと言う…ドヨンとジョンミンマジックだわ。役者さんの表情や行動で表現される部分を、マンガは主人公の女性の心情を語らせることで表現し、小説はふたりの心情を丁寧に言語化していました。
ノベライズには、ソクチュンの声が二度と戻らないだろう等の映画で明かされなかった情報もあった(字幕になっていないだけかも知れないけど)。元旦那にいなくなったウナを先に見付けたのは俺だ、お前はウナを愛していると言っておき乍ら何故見付け出せなかったんだ?と言われて悔しく思うソクチュンの描写が詳しく、愛情と執着の違いって…なんて真面目に考え込んでしまいましたヨ!
マンガは映画公開前に連載されたものだそうで、話の構成が変わっていたり登場人物が少なくなっていたりしました。ソクチュンはぷっぷくぷーなジョンミン兄さんとは違い、これ普通に格好よくないか…って青年になっていた(笑)。マンガを描かれた杉浦圭さんとドヨンさんの対談ではソクチュンとウナの人物造形について、撮影裏話等が読めて面白かったです。
04月01日(火)
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