ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『タワーリング インフェルノ』
そこで解釈が分かれる箇所がふたつ。序盤で助けを呼んでくるよって出て行って焼けちゃったビグローさんと、娘婿と一緒にゴンドラにぶらさがって落ちちゃった上院議員さん。彼女を安心させるため、それとも自分だけ逃げるため?娘婿の暴挙を阻止するため、それとも自分も逃げちゃおうとしたため?これなー。前者は安心させるためだと思い、後者は逃げちゃおうとした、と思った。後者は、上院議員が登場時、タクシーにチップを払わないせこさを見せたためだが、そもそもここも思わせぶりで、小銭の前にお札出そうとしてるのよね。でもこれも、最初から釣り銭がないと見込んでわざと高額紙幣を出す振りをした…とも思える訳で。ビグローさんに関しては、なんとなく(笑)これの前に電話が通じないことを隠して嘘つくところがあったしね。いやーうまいわー。どっちにとっても通じるわー。こういう、律儀と言うか伏線の回収が几帳面なところも楽しめました。ねこの行方や、ヘッドフォンしてる子とかね。
あとひとの生き死には運ってとこ。バーテンダーのおっちゃんが最後の最後で死んじゃったのはショックだった!すっごいいいひとだったのに!話がすすむにつれすっかりこのひとに魅了されて、ああ助かりそう、よかったよかったと思っていたところに…ここ、いちばんショックだったかも。あの未亡人だって数々の危機を乗り越えてああよかった、と思った矢先ですよ!しかもあれね、幼い頃の記憶がいかにあてにならないかと言う…私、詐欺師のおじいちゃんがねこを助けに行って死んじゃって、未亡人にねこが手渡されたと思ってた。逆だったうえ、ねこ助けたのはO・J・シンプソンだった。そう、O・J・シンプソン重要な役で出てたんですね…いろいろな意味でビックリした…だって当時はO・J・シンプソンて知らないし!そもそも知ったのってあの事件でだし!
なんかねいろんなものがカット&ペーストされてるのよ。以下また列挙。
・ビグローの彼女が転落したシーンのあとにCMが入るフラッシュバック
・エレベーターから燃えるおっちゃんが出てきてキャーってシーンのあとにCM以下同
上のふたつは実際そうだったと思うの、テレビ放映のとき。
・展望エレベーターにねこ抱いて乗ったおじいちゃんが、他のひとにねこを手渡して転落する
・そして地上で黒人のおっちゃん(ここは合ってる)からねこを受け取る未亡人
……どうしてこうなった。特に三番目、ねこを渡して後ろ向きに転落するおじいちゃんの表情迄記憶している…改竄っぷり甚だしい。あーしかしフレッド・アステア素晴らしかった。踊らなくても、唄わなくても、愛さずにはいられないチャーミングな詐欺師役でした。
あと意外と笑えるところがあったのも新鮮だったわ……。娘婿が非常口から結局脱出出来なくて帰ってきたらそのドアの前に椅子とかいっぱい積んであって開けられなくなってたとか、「カゴはパーだがパニックはおさまった」って台詞とか。あと非常口がセメントで固まってるとか、あまりにもあんまりで笑ってしまったよ…納期キツキツの突貫工事ってつらい。
当時は高層火事怖い消防士すごいかっこいいってくらいのシンプルな感想だったが、大人になった今観ると、このあとの裁判やら何やらのごたごたを思って気が遠くなりましたよね…元凶の娘婿は死んじゃってるし。それにしても設計士の活躍っぷりよ。そもそも設計士があそこ迄やらなあかんのか。出来上がったばかりの自分の作品が崩壊して行くさまを見続けるってところもせつない。シルバーフォックス以前と言っていいかな、まだ銀髪でないポール・ニューマンのタフガイな格好よさ!たまらん!そしてあくまでクールなマックイーン!キャー!キャー!
そしてスクリーンで観て実感したのは、CGに頼らない特撮+スタントの凄み。画面が分厚いと言うか、重いと言うか。ジョン・ウィリアムスの音楽も素晴らしかったです。客席の集中力も高かったように思いました、皆一緒にハラハラドキドキ。いい環境でいい映画を観られるって本当に幸せなことだわ。
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12月01日(日)
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