ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
[648523hit]

■飴屋法水『302号室より』

「僕は、ここを出たら、」「……演劇をやろうと思う」。そう言って、飴屋さんは退場していきそのまま戻らなかった。それは寺山の言葉ではあるが、飴屋さんの言葉にも聴こえた。鳥肌がたった。

不安定な姿勢のまま身動き出来ない二時間弱で、かなり身体的には過酷だった。このひとの作品はいつものんびりとは観られないが、飴屋さんが登場する迄の長い待ち時間は演出ではなくハプニングだったように思う。実のところあの待ち時間がいちばんキツかった。裏から慌ただしい様子が伝わってきていたし、パフォーマンスエリア上に小道具が運び込まれたのも随分時間が経ってからだった。その後も音響チェック等が続いていたが、それに関しての説明は皆無だった。それらを「これも作品の一部?」と思わせてしまうあたり寺山マジックかも知れない(…)が、火災や事故の際「逃げろって言われないからまだ大丈夫なんだよな」と留まって逃げ遅れるタイプの人間なので、正直危機感はあった(苦笑)。そう言った会場、制作側のアテンドには疑問が残った。あの身体的苦痛も含めて体感する作品だったと言われてみればそうかも知れないが(御されやすい)。上演中ずっと手話で話しているひとが近くにいて、声を発してはいないのに「うるさい」と感じたのも初めての経験で(呼気やタンギングの音は多少したが、その音ではなく「手話」がうるさいと思ったのだ)これもなかなか興味深かった。

飴屋さんと言うと状況劇場のイメージがあるので寺山?と思いはしたが(特にリアルタイムでは知らないので)、このあたりは互いに影響し合ってきているのだよなあと改めて思った。そして先程ふと思い出したが、飴屋さんは小竹信節さんの作品に参加していたな(『ミュンヒハウゼン男爵の大冒険』)。

千駄ヶ谷迄歩いて帰ろうとしたら道に迷う。暗いとわからなくなるね…全身ギシギシで起き、ルー・リードの訃報を知る。

10月27日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る