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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『あいちトリエンナーレ 2013』
そしてここでフル上映されていました、『Superbarbara Saving the World(スーパーバーバラ世界を救う)』!スーパーバーバラは旧式のダッチワイフ。ひとを救い、鳥を救う。彼女は傷付けられた存在で、それでも地球を救おうと奮闘する。かわいらしい絵柄のアニメーションなので、こどもたちも沢山観ていました。彼女のせつなさを理解する年頃になったとき、この子たちは何を思うのかな。
・公式サイト。映像はこちらで観ることが出来ます
一緒に観た見知らぬひとたちや、その場の雰囲気も作品になる。こうやってweb上で観ることも出来る映像作品だが、やはりその場で、五感をフルに使って観たときの気持ちは何ものにも代え難い。
五感と言えば、名和晃平×京都造形芸術大ウルトラファクトリーの『フォーム』は強烈だった。三階に上がった途端異臭が鼻をつく。暗闇に蠢く巨大な泡!洗剤とも違うあの匂い…薬品ではあるのだろうが何だったんだろう。あの異様な光景には匂いも大きく貢献していた。発泡するときのちいさな音、指に触れたときのたよりない感触。

■栄エリア/愛知芸術文化センター
名古屋テレビ塔に掲げられたオノ・ヨーコの『生きる喜び』を眺める。このアートは英文『JOY OF LIFE』ともに各所に分散しており、街のあちこちで観ることが出来た。ビルボード、ビラ、電光掲示板と形態もさまざま。予想外の場所で目に飛び込んでくるそれは、ハッとするとともにじわりと心があたたかくなる。ゲリラのように愛を配る、ヨーコの真骨頂。
愛知芸術文化センターは質量ともに充実、ざくざく観てまわる。コーネリア・パーカーの『無限カノン』、つぶされた楽器が列をなして宙に浮いている。ここにも(鳴らない)音。今年のテーマは『揺れる大地』。ストレートな震災記録写真もあれば、廃材を利用した作品、失われた思い出を共有するようなものと提示方法もさまざま。アイコンにもなっていたヤノベケンジのサン・チャイルドは、チェルノブイリの原発事故に際しヤノベが発表したアトムスーツを着ている。とてもかわいらしいキャラクターで混乱もする。アトムスーツが発表されたとき、こんなにポジティヴな方向性ではなかったからだ。その混乱は未来を示す。

・ARICA+金氏徹平『しあわせな日々』@愛知県芸術劇場 小ホール
福岡“Yen Calling”ユタカの役者デビューを見届けて来たよ!イトケンによる劇中音楽、エンちゃんの声は全部インプロ+ライヴでした。
ベケットの『Happy Days』新訳初演。ほぼ安藤朋子さんのひとり芝居です。大地に埋められているのか、動けない女性。彼女は思い出を語り、今の気分がよいことを語り、幸せだと言う。童女のような声色のときもあれば、老婆のように達観した声も発する。一幕では上半身が出ているが、二幕になると首だけしか自由に動かない。幕間休憩はなく、音楽とエンちゃんの声で時間の経過が表現される。
エンちゃんは彼女の夫役。金氏さん美術の、さまざまなものが積み上げられた山(頂上に彼女がいる)のそばで新聞を読んだり、着替えたりする。殆ど、いや、一度も客席に顔を向けない。台詞は記号的。終盤、彼は四つん這いで山のふもとに現われる。ここでひとこと発せられる「おまえ」と言う言葉が、それ迄の記号から逸脱して感情を揺さぶられる。
効果音も生演奏で、演出の藤田康城さんを筆頭にスタッフが鳴らしていたそうです。アフタートークも面白かった。
しかしエンちゃん、結構大柄だよね…なんかああいう声の持ち主って小柄なイメージ(人外ぽい)があるので実物見る度ハッとするわ。来年KAATでもやるそうなので、また観(聴き)たいな。

前回の山川冬樹『Pneumonia』、そして今回のやなぎみわ『ゼロ・アワー』、『しあわせな日々』。パフォーミングアーツにしろ展示作品にしろ、音が印象に残るあいちトリエンナーレ。それは自分の興味によるものだろうか。今年も行けてよかったな。三年後、また行きたいな。

いんやそれにしても文字通り脚が棒、そして日灼け。宿で泥のように寝た。日帰り用の体力残さないで歩き倒したからな!翌日は名古屋駅周辺を散歩して、コンパルのエビフライサンドも買えてご満悦。鉄板ナポリタンも食べたー。やっぱ九州の鉄板ナポリタンとは違う…敷いてある薄焼き玉子、だしが入ってる?


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10月12日(土)
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