ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■七月大歌舞伎 夜の部
この辺り難しそうだなと思ったのですが、老婆の姿勢や動作は年齢と経験の積み重ねが必要で、しかし人外の境地に達した鬼の身体能力も見せなければならない。四代目は鬼女になってからの身体の操作が素晴らしく、花道での所謂「仏倒れ」の場面もわっと客席が沸く迫力。いんやここはすごかった……。背面から倒れてすっと消える場面も静かで流麗で、それがまたガーンて感じでした。ああ、消えちゃった…死んでないにしても、岩手はもう人前に姿を現さないんだろうなー……って。

そして曲がおそろしく格好よかった。四世杵屋佐吉作曲だそうで、これまた聴きたいなあ。能楽の『黒塚』も観てみたいな……。バレエやコサックダンス等ロシア舞踊のエッセンスも含まれ(そういやこのコサックダンス調、ころころした感じの猿弥さんが踊るので愛嬌があったわー)、この作品を創作した二代目(初代猿翁)の才気がたっぷり詰まった作品。これから四代目が踊って行くこの作品はどんなふうに進化していくんだろう。すごく楽しみでもあります。また観たいー。團十郎さん演じる祐慶も素晴らしかったな……。團十郎さんと猿之助さんが共演する『黒塚』は滅多にないものだろうから、そういう意味でも貴重なものを観た。

それにしても、これをちっちゃい頃観て感動して、お絵描きする程好き好きー☆(亀博でその絵が展示されてた)ってなる四代目って…こどもの頃からすごく変わっ…いや不思議な方ですね……。

『楼門五三桐』では猿翁丈八年振りの舞台復帰。配役が特別編成?になっていて、三人出ればいいとこ十人以上出ました。石川五右衛門の海老蔵、左枝利家の段四郎、真柴久吉の猿翁。久吉の家臣六人に、久吉の侍女三人。そして猿翁の後見に中車。海老蔵さんの「絶景かな」、よかったなー。このひとひとりで立つとき、ひとりで語るときの存在感が圧倒的。台詞回しもかなり独特なんですが、それがこの五右衛門には合っていたなあ。猿翁丈の出番は数分、しかし右手に持った柄杓をすっと上げるだけで全部持って行きました、シビれた。十数分の作品ですが、装置といい配役といい、ちょーゴージャス!拍手は鳴り止まず、カーテンコールもあり、晴れ晴れしい幕切れでございました。

そしてそして、あのー個人的な感想ですが、彌十郎さんが格好よくて格好よくてですね。これ迄自分、中村さんとこに出てた彌十郎さんばかり観ていたので、猿之助一座での彌十郎さんのなんて言うんでしょう、屋台骨っぷり、漢っぷり、客席からの歓迎されっぷりを目の当たりにしたのは初めてだったのです。自分が歌舞伎をぽつぽつ見始めた頃三代目が倒れ、猿之助一座が恒例としていた歌舞伎座七月公演も、スーパー歌舞伎も観たことがないままで…ああ、ここが彌十郎さんのホームなのねなんてしみじみしました。いや勿論他の一座でも頼りにされている方だと思いますし、中村さんとこに出ている彌十郎さんも素敵ですが!

いやでも観られてよかったなあ、猿之助さんとこにいる彌十郎さん…。そしてこれからも観ることが出来るんだ、きっと。七月公演が終わればまとまった休暇があるらしく、大好きなスイスへ行くのを楽しみにしているようで微笑ましい(twitter参照)。無事千秋楽を迎えられますように。そして元気で格好いい役者っぷりをこれからも沢山見せてくださいー。

07月16日(月)
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