ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『天日坊』
あと、所謂歌舞伎の型から逸脱した表現がどれも印象に残った。高窓を斬った後、地雷太郎とお六の間に流れる空気。そして裸舞台になってからの大立ち回り。今回立師に前田悟さんのクレジットがあり、新感線を連想するスピードの殺陣だったのですが、それに歌舞伎役者の身体を通し、自分の存在を命懸けでつかみ取ろうとしている若者たちの悲壮と言う心情を乗せる。勘九郎、獅童、七之助が魅せに魅せてくれました。若い世代ならではの、筋肉がしなる殺陣。がむしゃらであり乍ら武将の血を引く「義高」の片鱗を見せる、と言う複雑な法策の立ち回りを鋭さで見せた勘九郎さん、スバラゴイ(ヨタロウさん語)!
そう、そんでここの七之助くんがすごかったんですよ…客席のあちこちから歓声ともつかぬ声がわっと漏れたんです。あの舞台に駆け込んできたときの鮮やかさ、すごかった。駆け込んできたとすら認識させない、二本の脚を交互に動かして来たとは思えないみたいな…あのー情緒のない例えですがセグウェイに乗って来たみたいな……シュッてきたの、シュッて!全身から立ち上る殺気、絶命するときの美しさと言ったらなかった。命が肉体からパッと離れた瞬間が目に見えたかのよう…ツバメが戦場に飛び込み、撃ち落とされてぽとりと落ちる迄の数分を見るかのようだった。ああっセグウェイじゃなく最初からツバメって言えばよかった!
絶命と言えば新悟くん演じる高窓の最期も素晴らしかったよ〜(涙)『ヤマトタケル』のお父さんともども素晴らしい死にっぷりでした……!
そして音楽!トランペット(六管!)の調べは、登場人物たちの危うい心を照らし出してくれました。THE THRILLの平田直樹さんが音楽、メトロファルスでもおなじみ熊谷太輔さんが演奏で参加していたのも嬉しかった。と言えば、熊谷さんと関根真理さんは交互出演と言うことだったけど、千秋楽ってふたりとも出てませんでした…?あとツケ打ちが下手側から聴こえてくるのも新鮮でした。これは単にスペースの問題だったそうで、松本公演では上手側に位置するそうです(今回の附打、山蕪Oさんのtwitterはこちら)。
そんなこんなで座組が素晴らしかったよー!勘九郎さん七之助くんのもとに、同世代と後輩、胸を貸してくれる先輩たち、現代劇からのメンツが集った。獅童さん、ああいう刹那な役柄すごく合うね!衣裳(詮議の場以降の盛装すっごく板についてた)ともに大きな芝居が余裕と優雅に転ずる。ロックスターたるやの貫禄すらありました。あ、そういえば最後の大立ち回りの法策を見てたとき『浪人街』で獅童さんが演じた赤牛を思い出した。彼も絶命後、さまよう魂が呑み屋に帰っていくって描写があったんだ……。その獅童さんと亀蔵さんの、族の集会なやりとりにはちょー笑った…てか亀蔵さんすごい…お三婆さんのスロ〜モ〜といい、赤星のおっさんヤンキーと言い、なんでそんなにおかしいのか!なのに格好いいのか!コクーン歌舞伎初登場の巳之助くんと、新悟くんのカップルはすごく活き活きしてた、そしてかわいいそうだった……。歌舞伎役者たちと五七調で渡り合った白井さん、客席との橋渡しを担当した公園くん、そして真那胡さんも格好よかったわ…つーか白井さん、一幕の久助がちょー気のいい下男って感じだったのがまたよかった…これが二幕での、天日坊を裁く際の逡巡に活きた。また歌舞伎に出演してほしいなあ。
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07月07日(土)
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