ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
[648744hit]

■『浮標』2回目
そして役者長塚圭史はやっぱりいいなと改めて思いました。自分を科学者といい、美緒は確実に死ぬと五郎に引導を渡す医師の役。彼の言っていることは全て正しい。五郎の気持ちは解るが、自分がどこ迄彼を助けてあげられるかも解っている。長塚くんが哲司さんに今回出演のオファーをしたとき「圭史が出るなら出る」と応えられた、と言う記事を読みましたが、このある種対決でもあるシーンで役者長塚と哲司さんは向かい合いたかったのかなと思いました。

この戯曲は私戯曲でもあります。三好十郎とその妻、操の話。操の死後十郎は再婚し、この作品を書いたとのこと。再婚相手のことを考えました。十郎と操が語り合ったさまざまな言葉たちは、多分十郎とその後の妻には語られない。しかしその妻と十郎は、また新しい言葉を重ね続けていったのでしょう。そしてその言葉は、皆消えていってしまうのです。ふと思い出したのは、鴻上尚史さんが書いたテキストでした。数日前『幽体の知覚』を観た時に連想し、頭の隅にあったからかも知れません。

-----

別れることが悲しいのではなく、二度と語られなくなる言葉が生まれることが悲しいのじゃないかと思うことがあります。(中略)二度と語られなくなった言葉の想いは、宙ぶらりんのまま、さまよいさまよい、どこにたどり着くのだろうと思うのです。言葉が、言霊で、力を持つものなら、その二度と語られなくなった膨大な言葉達の想いは、きっとどこかに集まっているはずです。そして何かを生み出そうとしているはずなのです。

-----

「来世だとか死んだ後の神様だとか、そんなものを信じてゐなかつたからこそ、奴さん達は今現に生きてゐる此の世を大事に大事に、それこそ自分達に与へられた唯一無二の絶対なものとして生き抜いた。死んだらそれつきりだと思ふからこそ此の世は楽しく、悲しく、せつない位のもつたい無い場所なんだよ」

圧倒的な舞台でした。NHKでオンエアあるようですが、上演時間が長いのでカットされちゃうかな?あの熱量が伝わるオンエアであることを願います。

02月10日(木)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る