ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『パブリック・ドメイン』
こう書くとややネガティヴな印象を受けますが、この作品には意外にも暖かみや包容力を感じる幕切れが用意されていました。終盤観客=出演者たちは、広場にあるステージの裏に誘導される。そこにはミニチュアの広場と人間たちの模型が置かれている。ヘッドフォンには質問が流れ続ける。しかし出演者はもう動くことはない。ミニチュア模型と、ステージ裏に張られたスクリーンにただただ見入る。スクリーンには、ミニチュア模型の世界が映し出されている。銃を向けるひと、両手を挙げるひと、倒れているひと、それを介抱するひと……。
今自分は警官の役を演じる立場にいるけれど、意識は別のところにある。自分のこころは誰にも侵略されることはない。同じ質問を聴いていても、その答えは出演者全員違うものなのだ。『パブリック・ドメイン』は、共通性を持ち乍らただひとつとして同じものはない出演者たちそれぞれの物語を持ち帰る作品になる。
スクリーンにエンドロールが流れ始める。『本日の出演者:登場順』として、参加者の名前が映し出される。受付で渡した名前がここで使われるとは(笑)上演中にスタッフが入力してるんですねー。毎回のことだから結構な手間、ちょっと嬉しくなったりしました。全てが終わると、出演者たちから自然と拍手が起こりました。この拍手は誰に向けられたものなのかな。穏やかな表情の出演者たちは劇場にやってきた観客に戻り、集団は分解し、ぱらぱらと広場へと散っていきます。ヘッドフォンを返却すればもうどこにも出演者たちの関係を証明するものはない、やっぱり心の中にしかない。一期一会。
ベルナットはこの作品について語るとき、ランシエールの本に引用されていたフレーズ「劇場とは過去においても現在も、集団としての観客が自らと対峙する唯一の場所である」をあげていました。ひとりひとりは、必ず何かと共通点を持ち、決して物理的な孤独は有り得ない。同時に、それでもひとりでしかないのです。それは悲しいことであると同時に、喜ばしいことでもあるのだと感じました。
・Time Out Tokyo『観客演劇「パブリック・ドメイン」』
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今回のフェスティバル/トーキョーのテーマは『演劇を脱ぐ』。舞台上でおこることを観に行く、だけでは済まない作品が多く非常に興味深かったです。『パブリック・ドメイン』を筆頭に、飴屋さんの『わたしのすがた』、やなぎみわさんの『カフェ・ロッテンマイヤー』(『パブリック〜』後ちょっとだけ覗くことが出来ました。盛況だったよー)もそうだな…高山明さんの『完全避難マニュアル 東京版』に参加出来なかったのがこころのこり(登録はしてたんだけど行く暇がなかった…)。次回は一年後。楽しみです。
そういえばこの記事面白かった(笑)→・日経ウーマンオンライン『HOOTERSとロッテンマイヤー』
11月28日(日)
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