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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■相場操縦をしているのは誰か?


 大物仕手筋として知られる加藤ソさんが逮捕された。加藤氏はもう74歳である。外資系のファンドがアルゴリズムを使ったコンピューターの自動取引で株式を売買する世界で、昔のやり方の株価操作や、仕手株と呼ばれる一部の銘柄を利用した仕手戦がもはや通用しなくなったのは投資家のオレにはよくわかる。加藤氏が「新日本理化」の株価操作をしていたこともネットの上に広く知られていたことである。

 しかし、彼の仕掛けた仕手戦に乗っかって儲けようとした多くの個人投資家たちがいたことも事実だ。資金力の乏しい個人投資家が束になってある特定の銘柄を買い上げて、話題になって株価が急上昇したところで大量の空売りを入れ、踏み上げ相場を演出したあとで売り抜けるというのは仕手株のお約束みたいなものである。祭りが大きければ大きいほど参加者も膨らむし、最後には壮大な暴落が待っている。どこで参加し、どこで売り抜けるかはすべて参加する個人の自己責任である。そうした「祭り」が起きることのどこがいけないのか。彼に何らかの罪があったとオレには思えない。そもそも金融商品取引法という法律がクソである。そして証券取引法違反で検挙されるのはいつも小物ばかりだ。加藤氏がどれだけ利益を出したというのか。

 オレはこれまで何度も仕手戦を見てきた。そして気がついたのだが、仕手戦の中には金主、つまりゼニを調達してくれる親分として背後に銀行がついてることがあるということである。かつて倒産した新興不動産のジョイント・コーポレーションを底値で買い支え、倒産前の乱高下を演出したのはある大手都市銀行である。ジョイントコーポが100円割れから反発した直後にオリックスによる支援が発表されたわけだが、その情報を知る何者かが買い支え、そして300円台に反発してから売り抜けた。あのとき底値で買い支えた連中は数十億円の利益を得たはずである。もちろん明らかなインサイダー取引だが、これを取り上げた新聞は一つもなかった。半年後にジョイントコーポが破綻した時、優良資産はメインバンクであったその銀行がほとんど押さえてしまっていたのである。オレはその事実をもと社員だった人達からの告発メールで知ったのだ。

 真の黒幕は決して表に出てこないし、暴力団との関与もきっとあるだろう。そして同じ不正であっても告発されるのは小物ばかりで、大物はうまくすり抜けるか、驚くほどの微罪で許されるのである。巨額の粉飾決算をしたオリンパスや東芝が上場廃止になることもなかった。それに比べればハナクソみたいなわずかな金額の不正を行ったライブドアが上場廃止に追い込まれ、堀江氏が実刑判決を受けたことと比べればあまりにも不公平である。しかしこれが日本の株式市場の現実なのだ。小さなイカサマは取り締まられるが、もっと大きなとてつもない規模のイカサマは「株式市場に与える影響が大きすぎる」からお目こぼしになるのである。株主訴訟で堀江氏は200億円以上の賠償を支払ったが、東芝は旧経営陣にわずか3億円しか賠償を求めていない。2000億円以上の不正会計を行った連中に対して、あまりにも軽い罰である。これがイカサマでなくて一体何なのか。

 旭化成建材によるマンションくい打ちのデータ改竄事件は、はからずも同様の不正が日本中のマンションで行われているという事実を明らかにした。これでマンションが全く売れなくなるかというとそうでもなく、いったん暴落した三井住友建設株は、不正を行ったのは下請けの旭化成建材というニュースが流れるとすぐに反発した。そして都心部には新しいマンションが次々と建てられている。もうすでに数百万の空き家が存在し、人口減少が始まっているのに、その問題を放置して新しいマンションがじゃんじゃん建つのだ。おそらくあと20年も経てば多くのマンションが管理費や修繕積立金の滞納でスラム化してしまうだろう。そんなことも考えずに人々はマンションを終の棲家のつもりで買うのである。廃墟となったマンションで孤独死する未来が予想できないのだろうか。どうも株式市場にネガティブなニュースは報道規制でもされているかのように流れてこないのだ。そうしたマスコミを使った市場操作は「株価操縦」ではないのか。


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11月19日(木)
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