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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■小学生を今よりもっと馬鹿にする方法
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 「どうしてそんな馬鹿なことをするのか?」とオレは小学校での英語教育必修化について苦々しく思っていたが、どうやらこの愚行は阻止できないようである。それどころかより狂った方向へと進みつつあるのである。なんということだ。新聞記事を読むとあきれるようなことがどんどん報道されているのだ。ただでさえよい英語教師は不足しているのに、小学校にいったいどうやって教師を配置するのか。そして小学校から教えることに効果があればいい。それ自体が無駄であることのためにどうしてゼニと時間を掛けなければならないのか。いや、ただの無駄ならまだいい。それ自体が有害なことのためのゼニと時間を掛けるのだ。全く馬鹿げているとオレは思うのである。

小3から英語必修 小中高の英語教師にTOEIC
 政府の教育再生懇談会(座長・安西祐一郎慶応義塾長)が26日に福田首相に提出する第1次報告の全容が、明らかになった。英語教育の強化を掲げ、国に小学校3年から英語を必修化するように求めている。
 また、小中高の英語教師の採用に際し、英語能力を測る世界共通の学力テストである「TOEIC」などで一定の点数を取っていることを条件とするように提言している。
 報告は、〈1〉英語教育の抜本的見直し〈2〉こどもを有害情報から守る方策〈3〉留学生30万人計画の国家戦略化〈4〉実践的な環境教育の展開〈5〉若い保護者の子育て支援――が柱。
 英語教育について、小学校から大学までの各段階での到達目標をTOEICなどを活用して具体的に定めるように求めた。さらに、英語教育を小学校3年生から年35時間以上行うモデル校を全国に5000校設けて支援するとしている。
 こどもが有害情報の被害に遭うことを防止するため、小中学生が携帯電話を持つことがないように関係者に協力を促す。仮に持つ場合は、通話や居場所確認機能に限定した携帯電話を持つように推進するとした。
 福田首相が提唱した「留学生30万人計画」については、政府が国内の30大学を指定して重点的に支援し、これらの大学で、留学生の比率を全学生の20%以上、特定学部の外国人教員の30%採用を目指すとしている。(2008年5月24日 読売新聞)

 昔オレが大学生だった頃、学習塾の講師をしたことがある。そのときオレはものすごいオチこぼれの生徒に出会った。その少年は小学校6年でありながら足し算がちゃんとできなかったのだ。10000+10=1000010という計算をしていたのである。オレは仰天した。なんというアホな生徒だ。オレはその子のために小学校3年くらいまで戻って、せっせと算数の遅れを取り戻すためにがんばったのである。まず位取りをちゃんと教えた後、かけ算の九九はどうやらわかるようだったので分数を教え、どこでつまづいているのかを発見して、理解できるところからきちっとやりなおせばきっと追いつけるはずだと思ったのだ。

 しかし、その子の母親からオレは抗議されたのだ。「どうしてうちの子にこんなアホなことをさせるんですか!」オレは心の中で「だって、アホやんけ」と思ってだまって聞いていた。すると母親はもっとアホなことを言い出した。そのときにオレは完全にあきらめたのだ。この母親は息子以上にアホなんだと。だから息子はこんなひどいオチこぼれになったのだと。そのもっとアホなことというのは「うちの子は中学校に入ったときに役に立つように今から英語を勉強させたいのです!」というセリフだったのだ。 結局その子は塾をやめてしまった。オレという教師に出会ってせっかく手に入れたチャンスを母親は奪ってしまったのである。

 今、教育再生懇談会(座長・安西祐一郎慶応義塾長)がやろうとしているのは、この母親のような愚行である。そのことをオレは憂慮するのである。安西祐一郎という男の教育に関する認識は、この馬鹿な母親程度なのである。今の小学校で問題になってるのは英語ができないことではなく、学力格差や塾による教育破壊、ゲームや携帯のせいで子どもが勉強しなくなったことなんだということに気がついていないのだ。


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05月27日(火)
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