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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■きみは阿部野橋を知ってるか?
オレの住む街には近鉄南大阪線というローカルな鉄道が走っている。他の近鉄の路線は広軌なんだが、これだけは狭軌である。大阪・阿部野橋から吉野へと走る、近鉄の数ある路線の中でももっとも忘れられた路線である。おそらく大阪に住む人以外は存在すら知らないはずである。また、大阪に住む人であっても乗ったことがあるという人は沿線住民以外は考えられない。昔は藤井寺に近鉄バファローズの本拠地となる藤井寺球場というものが存在し、信じられないことだがそこで日本シリーズが行われたこともあった。こんな辺境の地でそんなイベントがあったということをオレは今でも信じられないのである。
その近鉄南大阪線の終点は大阪・阿部野橋という巨大ターミナル駅である。近鉄南大阪線はそこで5線に分岐していて、2線を各駅停車、2線を急行・準急、残る1線をさくらライナーとも呼ばれる吉野行き特急が利用するという形になっている。今の私鉄各線は都心に乗り入れる部分が地下構造になることが多いため、このように広大な駅を展開してるのは今や少数派である。子どもの頃のオレにとって、その終点阿部野橋というのはこの世でもっとも大きな駅に思えたのである。その売店のジュースクーラーで販売されていた冷やし飴を母に買ってもらうのもお出かけの時の楽しみの一つだった。
しかし、大阪以外に住む人に「阿部野橋」と言っても通じない。その地名を全く知らないのである。道路を隔てた向こう側にJRは「天王寺」という駅を設置している。天王寺なら東京の人にも通じることがある。大阪環状線のその位置関係から考えて、天王寺駅というのは東京駅に対する新宿駅のような存在であり、とりあえずは認知されているのである。それでオレは関東の人に自分の住む街への行き方を説明するのに「阿部野橋」とは言わずに「天王寺で乗り換え」で済ませる。しかし、阿部野橋駅のある場所は「阿倍野区」であり、天王寺駅のある場所は「天王寺区」なのだ。JR大阪駅のある場所に乗り入れている私鉄各線や地下鉄線の駅名がすべて「梅田」であるように、そして関西人が決してあの場所を「大阪」などと言わず「うめだ」と呼ぶように、オレにとってあの界隈は天王寺ではなくて「アベノ」なのだ。そのアベノが劇的に変わろうとしているのである。オレはこのニュースを聞いてぶったまげたのである。近鉄は何をしようとしているのか。読売新聞の記事から引用しよう。
近鉄が高さ日本一の超高層ビル…地上59階、約300m
近畿日本鉄道は8日、近鉄百貨店が入居している阿部野橋ターミナルビル(大阪市阿倍野区)の旧館部分を建て替え、百貨店やホテル、オフィスなどから成る超高層複合ビルを建設すると発表した。
地上59階地下5階で、完成すれば高さ約300メートルとなり、横浜ランドマークタワー(横浜市、296メートル)を抜いて日本一となる。総事業費は700億〜900億円で、2014年春の完成を目指す。
新ビルの延べ床面積は約21万平方メートルで、地下2階〜地上14階部分に近鉄百貨店が入居する。建て替え後も残る阿部野橋ターミナルビル新館部分の同百貨店(営業面積4万6600平方メートル)と合わせ、百貨店としての営業面積は約10万平方メートルとなり、松坂屋名古屋本店(名古屋市、8万6758平方メートル)を抜いて、国内最大となる。(2007年8月8日21時20分 読売新聞)
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08月09日(木)
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