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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■大学をダメにしたのは誰だ?

 オレは大学進学率は低くてもいいと思っている。18歳人口に対する大学短大の定員はせいぜい30%以下で十分だと思っている。つまり、7割の人は専修学校に行くか高卒以下で就職するようにという人数比が望ましいということだ。その結果若年就労者が増加するならば、それが今高校生や大学生、主婦のバイトによって占められてる労働を正社員に置き換えることが可能になる。また大学に行かない人が増加すれば、高卒で就職することがごく普通になり、高校生への求人も増加すると思うからである。

 オレがこのように考えるのは、大学というものを必死で努力した人だけが進める「聖域」とし守りたいからである。ところがすでに多くの大学はもはや「必死で努力して入る」場所ではなくなっている。入学者が定員を満たしてない大学も多く、「来てくれたらみんな受け入れる」というのが基本姿勢の大学が年々増えて生きてるのだ。その結果大学生の質的低下を招き、よく言われる「九九も出来ない学生」が生み出されるようになったのである。勉強しなくても入れるわけだから質的低下は至極当然のことなんだが。

 さて、そんな大学生の質的低下をなんとかしようと、教育再生会議ではまたまたヘンテコな議論が飛び出したのである。以下の記事を読売新聞から引用しよう。

大学卒業に認定試験、教育再生会議分科会が検討で一致
政府の教育再生会議の第3分科会(教育再生)は20日の会合で、大学の学部教育の質を担保するため、卒業時の認定試験の導入を検討することで一致した。
 分野別に試験を実施し、試験結果を基に大学が卒業を認定する仕組みを想定している。5月の第2次報告に盛り込みたい考えだ。
 会合では、出席委員から「極端に言えば九九が出来なくても大学に入れる」などと、大学生の学力低下を懸念する声が相次ぎ、4年間の学部卒業時に何らかの認定試験を設ける必要性で大筋合意したという。
 また、学部教育での〈1〉到達目標の設定〈2〉成績評価の厳格化〈3〉語学や文章作成力など各学部共通の基礎教育の充実――なども検討する。学部教育を充実させ、より高度で専門的な人材を育成する大学院教育につなげるのが狙いだ。
 分科会の中嶋嶺雄副主査は記者会見で、「授業に出席すれば、学力が身につかなくても安易に単位が認定される現実がある」と指摘した。(2007年3月21日2時14分 読売新聞)

 オレはこの記事を読んで一つの危惧を感じた。つまり大学側の金儲けにこの仕組みが利用されることである。その認定試験に合格しなかったら大学を卒業できないとなった場合、学生は留年するしかない。大学には一年分の授業料が余分に入ってくるわけで安易にゼニを集められるわけだ。たくさんの学生を留年させて大学経営に貢献した教授にはボーナスが支給されたりして。

 大学をダメにしたのは誰か。無秩序に大学の新設や学部学科の増設を認可した文部科学省の責任である。もしもその数を絞っておいて、常に定員を人口の30%以下にしておけばこんなことにはならなかったのである。そして一握りの受験生しか入れないということはそれが大学のレベルを維持することはもちろん、大学に進学しない多くの若者にも「自分たちの方が多数派だ」という安心感を与え、コンプレックスを払拭するのにつながったはずだ。職業教育の場としての専修学校や、普通科以外の高校の存在意義を高めることにもつながったはずである。

 「授業に出席すれば、学力が身につかなくても安易に単位が認定される現実がある」と語る分科会の中嶋嶺雄副主査は、実は大学の実態を全く分かってない。授業に出席などしなくても安易に単位がとれるのが現実なのである。そしてそれは20年以上も前も変わらない。あのときから大学というのはパラダイスだったのだ。オレの通っていた京都大学でさえそうだ。京大は日本一単位の取りやすい大学として名を馳せていた。


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03月22日(木)
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