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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■交通事故死者が減ったのはなぜか?
 昨年一年間の交通事故死者は1956年以来49年ぶりに7000人を下回ったことが警察庁のまとめでわかった。1956年と言えばまだマイカーブームが到来する前のことでスバル360もまだ登場していなかったはずだ。そんなろくにクルマも走ってない大昔に交通事故で7000人も死んでいたことの方がオレには驚きなんだが。まあ当時は救急体制も完備してなくて重傷者を救うことができなかったということもあるだろう。

 それからクルマが増えるにつれて交通事故もじゃかすか増えていき、運転技術が身に付いていない馬鹿にも免許を与えることが日本の自動車産業の育成に必要だったということもあって1970年代には年間1万人を大幅に越える死者を出していたのだ。ところがシートベルトの着用の義務化とエアバッグなどの安全装備の充実もあって、死者は減り始めた。飲酒運転の厳罰化も大きな効果があったことは否めない。そして事故の原因になるような欠陥交差点の改良が進んだと言うこともあるだろう。

 クルマの側に目を向ければこんな見方も出来る。大きなクルマと小さなクルマが衝突すれば小さなクルマの乗員の方がダメージを受けやすい。大きな車同士ならお互いにダメージは少なくて済む。パジェロやランドクルーザーのようなクルマで市街地を走る馬鹿にも「ぶつかったときに自分の身だけは守られる」という三分の理があったわけである。車種構成の中でセダンが減ってワンボックスやRV車が増加してきたこともなんらかの影響があったのかも知れない。

 都道府県別で死者数が多かったところは愛知(351人)、埼玉(322人)、千葉(305人)、北海道(302人)、東京(289人)となっている。よく大阪の交通マナーの悪さが話題になるが、昨年は7位だったのである。死者の数だけで言うなら一番運転が危険なのは愛知だ。そして埼玉、千葉と言った首都圏の周辺地域である。少なかったのは鳥取(45人)、高知(47人)、長崎(57人)などだが、これらは人口密度の低い地域ばかりであり、それだけ人間とクルマ、クルマ同士が接触する機会が少ないということである。

 ただ、交通事故による負傷者は100万人を越える状況が7年連続で継続しているという。ということは事故件数そのものはちっとも減らずにむしろ増加しており、死者が減ったのは救命率の向上と安全装備の充実のおかげだったということになる。今、さらに事故を減らすためにクルマは昔なら考えられなかったような安全装備がくっついている。たとえば高速道路で前のクルマとの車間距離が近づきすぎたら警告音が鳴るとか自動的にブレーキが掛かるという仕組みであったり、バックするときにカーナビが後方を映し出すカメラに切り替わったりする。こんなおせっかいな装置がこれからももっと増えてくるだろう。エアバッグも前だけではなくて横からも出てくるし、バイク用も開発中だという。後部座席用ももしかしたらもう実用化されてるのだろうか?オレのように安全運転できるドライバーばかりならこういったものは不要なんだが、世の中には信じられないような愚かな運転をするヤツがいる。そんな人間凶器がハンドルを握ってるわけで、そうした連中から自分の身を守るためには過剰なまでの防衛システムを装備するしかない。

 こんなふうに事故の時にショックを和らげるいろんな装備がゴテゴテくっついている理由は単純に言えばあの馬鹿大国アメリカのおかげである。アメリカで日本車が事故を起こして乗員が死亡した場合、その死亡の原因は運転のへたくそさではなくて、クルマの安全性の不足のせいにされて莫大な賠償金をぼったくられてしまうのである。


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01月03日(火)
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