ID:41506
江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■ハメこまれた人たち15(千年の杜)
 高値づかみの多くの遭難者を出してその後静かに下げていくかと思われたこの「千年の杜」は、その後何度かだまし上げを繰り返した。オレはその上昇は逃げ遅れた大口の投資家が逃げ切るために仕掛けたのだと想像している。そのだまし上げを見て個人投資家は「夢よもう一度!」とばかりに食いついては、そのたびに大量の売りを浴びせられて壊滅していったのである。暴落を開始した2月25日の出来高が1800万株もあり、その後も少し上昇すれば出来高がふくらんだことから想像するに、かなりの個人投資家が「まだ終わっていない」とこの仕手株に果敢にチャレンジしていったことがわかる。しかし、下に示すこの株のチャートを見てもらったらわかるように、下落過程で参戦した投資家のほとんどが敗れ去っているのである。しかも非貸借銘柄だから個人投資家は空売りで稼ぐこともできない。最後は結局逃げ遅れた個人投資家の墓場のようになっていったのである。




 4月30日の終値は131円、一ヶ月あまりの間に株価は約1/4になってしまった。そして2月14日に出されたIRの続報はない。黒海の人工島プロジェクトはいったいどうなってしまったのだろうか。もしもその話が本当に実現性のある話なら、ここまで暴落しないと思うのである。しかし、そんな大事業を受注するのはおそらく大手ゼネコンであり、社員17名の再建途上の赤字会社が受けたというのは怪しすぎる。オレは今回のこの相場が、大量の新株予約権を利用して仕掛けられた壮大な個人投資家へのハメ込み劇だったような気がしてならないのだ。しかし、ハメ込まれたことを恨んではいけない。仕手株というのは基本的にそういうものである。ハイリスクハイリターンだからこそ多くの個人投資家が夢を描いてそこに集まってくるのである。その夢をつかむことができる頂点での売り抜けに成功するのはごく一握りの投資家と、すべてを計算して仕掛けた仕手本尊だけなんだが。

 一株資産6円というこの会社の株価が今も100円以上あるのは高すぎる。いずれ株価はスタート時点の19円に限りなく接近していくだろう。そしてもう一つオレが巧妙だと思うことは、この会社が社名を「千年の杜」から「東邦グローバルアソシエイツ」という雄大な名前に変えたことである。まるで自己破産したヤツが養子縁組して名前を変えたようなうさんくささをオレは感じてしまうのである。そこまで言ってしまうと暴言が過ぎると叱られそうだが、今回の相場で稼いだ連中の悪辣さに比べればオレの暴言なんて実にカワイイものである。

追記:私が予想したとおり、このプロジェクトは実は売り抜けのためのヨタ話であったことが判明した。7月25日に発表された会社のIRは以下の通り
 人工島建設における業務委託に関しロシアSOYUZMORNIIPROKET社との交渉打ち切りに関するお知らせ
当社は、平成20年6月26日に開催の取締役会におきまして、ロシアSOYUZMORNIIPROKET社との間で人工島建設における業務委託契約の締結に関し基本合意したことを決議しましたが、今般、同社との交渉を打ち切ることを決定いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。

当社は、平成20 年6 月26 日付当社プレスリリース(「人工島建設における業務委託契約締結の基本合意に関するお知らせ」)でもお知らせしておりますとおり、ロシアSOYUZMORNIIPROKET 社との間で、人工島建設における現地詳細調査(ボーリング、地盤探査等)、建設に向けた実施設計ならびに建設の許認可変更手続等に関する業務委託契約の締結に向けて、相互に交渉に入ることについて基本合意をいたしました。しかしながら、今般、SOYUZMORNIIPROKET社との間で金額面での隔たりが大きく、折り合いが付かなかったため、かかる基本合意を終了させ、交渉を打ち切ることで同社と合意いたしました。
以 上

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05月06日(火)
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