ID:41506
江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■きみは阿部野橋を知ってるか?
 あのアベノ近鉄のある場所に、高さ300mの超高層ビルを建てるというのか。なんということだ。そんなデカいものをあんな辺境の地に建ててどうするんだ。少なくともそこは大阪の都心部の序列に於いては3番目以下である。梅田(キタ)・なんば(ミナミ)の二大中心街に比べてはるかにさまざまな機能に於いて劣っているのである。だから近鉄南大阪線の沿線住人が何か買い物をするときとか小じゃれたデートをするときは、阿部野橋なんか素通りして、地下鉄に乗り換えてなんばや梅田まで行ってしまうのが常である。地元住民もその阿部野橋という地点を「イマイチ」と捉えていて、そこにHOOPという商業施設を作ったりキハチというレストランを誘致したところで、街のイメージを変えることはできなかったのである。大阪で成功する場所はキタかミナミしかない。それ以外の場所でいくら頑張っても無駄なのである。立地条件という宿命はとうてい変えられないのだ。それは山手線内での新宿や池袋や渋谷の序列が不変であることと同じである。五反田や目黒がいくら頑張ったところで上位の牙城は決して崩せないのである。

 近鉄といえば私鉄各社と比較して決して健全な財務状況にあるとは言えない。阪神を吸収して大きくなった阪急電鉄は1兆2000億円以上の有利子負債を抱えているがキャッシュフローも少なく、いつ債務超過に転落しても不思議ではない無惨な状況だが、近鉄も負けず劣らず悲惨な状況である。子会社の大日本土木を整理した時にかなりの痛手を近鉄本体も被ったはずで、有利子負債1兆2395億という超借金企業なのである。その近鉄にとってこの事業はまさに大博打である。もしも失敗してコケた場合、民事再生法のお世話になる可能性だってあるんだ。

 大阪駅北側の再開発、なんばパークスの拡張というように大阪の二大都心であるキタ・ミナミには開発の柱となるテーマが存在し、それによって街に多くの人や企業を呼び込んできたのである。しかし阿部野橋にはいったい何があるのか。阿部野橋駅の西側にはかつて「てんのじ村」と呼ばれた貧しい芸人たちの住む街があった。今、その地は跡形もなく開発され、ぼったくり価格の高層分譲マンションなどが建ち並ぶ。その再開発は大失敗で、「あべのベルタ」と呼ばれる複合商業施設にはシャッターを下ろした店がズラリと並び、流行ってるのはサイゼリヤくらいで、そこも来る客というのはドリンクバーで3時間粘る高校生ばかりで全く売り上げには貢献していない。

 そもそもこの阿倍野橋という地域にやってくる人は、基本的に近鉄南大阪線沿線住人だけであり、これまでキタやミナミに来て満足していた人をわざわざ地下鉄で天王寺まで連れてくることはほとんど不可能に近いのである。2014年になればおそらく少子化による景気の後退で社会には閉塞感が満ちているだろう。そんな中で近鉄のこのビッグプロジェクトが失敗に終わり、途方もない借金だけが後に残されたとき何が起きるのか。近鉄の首脳陣はどのような英知を働かせてこの危機を乗り切るのか。単なる野次馬のオレはただただそれを興味深く眺めているだけなのだ。

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08月09日(木)
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