ID:41506
江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■夏の昼下がりのスクーター
 あれから30年近い月日が流れた。高度経済成長は日本をそれなりに豊かにして労働者にマイホームを与えたが、住宅ローンの返済という重荷を庶民に背負わせ、そのためにお母さんはパートに出ることになり、進出してきた大型スーパーはその職場となり、商店街にあったいろんな個人商店は客をスーパーに奪われて壊滅した。クラスメイトには電器屋の子もいれば和菓子屋の子も豆腐屋の子も風呂屋の子もいた。風呂屋の子は時々番台に座っていた。今はすっかりゴーストタウンのようになった商店街にはかろうじてパーマ屋や喫茶店が残っていたが、かつてそこに存在した店のほとんどはもうシャッターをおろすか、普通の家に建て直されていた。これはおそらく日本中で見られる光景なんだろう。

 オレたちはこの30年でいったい何を得て何を失ったのだろうか。かつて我々の国の持っていたひとつの文化が消え去ったことは確かなのである。映画「ALWAYS 三丁目の夕日」に見られたような光景はかつての日本ではどこにでもあった日常だったのだ。スクーターでかつての商店街を走り抜けながら、オレはそんなことを思って妙に悲しかったのである。

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08月10日(木)
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