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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■ハメこまれた人たち7(JAL)
 せっかく下げ止まったのがそこから大きく下げた背景として、公募増資の13%を引き受ける予定だった日興シティグループ証券が離脱したことがあげられる。証券会社にもそっぽを向かれる増資計画ということが嫌気されたのである。それも当然すぎる反応であり、日航では安全トラブルや経営陣の内部対立が相次ぎ、乗客離れもかなり進んでいる。昨年度の国内旅客数では全日空(ANA)に逆転され、400億円を超す純損失を計上したくらいでお先真っ暗な状況なのである。2兆円も有利子負債があってもう銀行はどこもゼニを貸してくれないのである。貸し倒れのリスクが高いからだ。それで増資という方法で資金調達をはかったのである。この増資によって得た資金は機体調達に投入するという。そんな設備投資よりも高コスト体質を改め赤字解消することの方が大事だったはずだ。その道筋が見えてこない以上、日航への投資はゼニをドブに捨てるのと同じ危険な行為となってしまう。

 日興グループに振られた日航は、その穴埋めとしてなんと海外での募集比率を6割にアップすることを発表した。国内、海外で3億5000万株ずつの発行予定を、海外4億500万株、国内2億9500万株に変更する。同社は変更の理由について、「海外機関投資家の旺盛な需要に対応するため」(広報部)としている。さすがに「日本人は誰も買ってくれないから」とは言えないのだ。さて、19日〜21日の間に決まる公募価格はいったいどれくらいになるのだろうか。時価よりも公募価格の方が高かったら誰も公募に応じてくれないので、たいていはその三日間の平均価格から10%くらいディスカウントした金額になる。外人に買わせるためにはさらにディスカウント率を高くするかも知れない。

 空売りしていた人でも公募に応じて株を手に入れてその株を現渡しするという形で空売りの返済ができる。空売りした人は株を入手できるようになるまで毎日の逆日歩に耐えながら待てばよいのである。情報量という点で圧倒的に及ばない不利な戦いの中で個人投資家の多くが破産したり樹海行きのバスに乗ったりした。「絶対にJALがつぶれることはないと思うので持ち続けます!」と開き直ってる株主がほとんどなわけだが、この状態が続けば株価はいずれ100円台にまで落下してくるだろう。その膨大な含み損に耐えるか、あるいはさっさと見切りをつけて売却するか。いずれにしても日本航空を買ってしまった多くの個人株主たちが「はめこまれた人たち」であったことは言うまでもない。

 このコラムを書いてからわずか4日後の7月19日の日本航空の株価(終値)は220円まで下がった。いっぽう公募価格は211円と発表された。その後さらに売り込まれて公募価格も割ってしまい最安値198円を付けた後は反発して、それでもわずかに公募価格を上回っただけの水準にある。2兆円の有利子負債を抱え、公募増資も予定の金額が調達できずに借入金で補うことになるわけで苦境は続く。もしも株主優待が廃止されれば、株価は50円くらいに下がるだろう。


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07月15日(土)
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