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サッカー観戦日記
by T.K.
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■雑文・大阪フットボール映画祭2015感想
世界中で盛んに行われている唯一のスポーツ・サッカーを題材にした映画もまた世界中で作られている。しかし日本ではなかなか観られる機会が少ない。そんな中、有志が集まって一種の上映会として横浜フットボール映画祭が2011年開催され、好評を博した。そこで2015年からは全国ツアーが企画された。その一環が大阪フットボール映画祭である。熱心なサッカーファンのための企画なので、Jリーグのオフシーズン開催である。しかし私レベルのサッカー何でも屋にとって、オフシーズンなど存在しない。観に行くには何かを捨てる必要がある。今回京都府高校新人戦男女決勝やU−15日本代表の対G大阪ユース、C大阪ユース戦が重なっていた。涙をのんで捨てるしかなかった。私は年に10回は映画に行く映画ファンでもあるので、面白いサッカー映画を見る機会を捨てたくなかった。一日券を買い、8時間4作品を観る

1本目『旅するボール』&2本目『ガルーダ19』
『旅するボール』は東日本大震災で多くのものを失った元サッカー少年の父親と、彼を見守る娘と母親。娘は父親がサッカー引退時に仲間に寄せ書きされたサッカーボールを津波で失ったことから、新しいボールにかつての仲間に寄せ書きしてもらい、誕生日にプレゼントし、ベガルタ仙台の試合を一緒に観ようとした。色々と葛藤があることを知りながらも、仙台スタジアムでかつての仲間と一緒に父親を待ち、無職なのにサッカーなんか観られないという父親を説き伏せた母親に送り出された父親も現れ、無事ボールをプレゼントし、C大阪をホームに迎えたベガルタが熱いゲームを繰り広げる。

非常時からの復興時においても、サッカーのある日常を描いた小品。この映画祭の後援はC大阪なので、ベガルタの対戦相手がC大阪だったときは場内受けた。父親のかつての仲間がスカパーのJリーグ番組の平畠さんというのもポイント。当然ながら、無職で妻のパートで生活している責任感の強い夫が、サッカーを楽しんではならないわけではない。むしろサッカーで元気を取り戻してほしい。そういう愛情に包まれた作品。

『ガルーダ19』はU−19インドネシア代表を描いた作品。インドネシアの全土各島々の散らばるサッカー少年たち。彼らはいつかスーパースターになる夢を持っていた。そのためにはインドネシアの象徴。神鳥ガルーダを模したU−19インドネシア代表に選ばれることが念願だった。代表スタッフは激論を繰り返しながらも熱いハートで任務に没頭するが、協会の育成に対する無理解に悩まされる。それでも県選抜の試合や訪ねた先でたまたま観た試合などを元に代表選手を選んでいく。少ない給料の中から飛行機代をねん出したものの、嵐のため県選抜が会場に来られず、一日遅れになるため、帰るしかないと思われた時も、熱いハートで飛行機チケットを破り捨てる。そうして手弁当で国中を探して集めたU−19インドネシア代表。しかし過酷な現実が待っていた。A代表ばかり優先させる協会。練習会場も確保できず、ホテル代すら払えず、安いホテルに移動しても食費すら出ない。ジャカルタにいても仕方ないことから、バスで遠征して強化試合を図ろうとするが、ガソリン代などの遠征費用は監督が子供のために貯めた教育費を取り崩してのものとなる。運転手の給料も半年出ておらず、イライラが募る。そして遠征先でホテルにも入れずモスクに泊まるが、ムスリムではないために入ることを躊躇する選手も。過酷な遠征でバスも故障してヒッチハイクすることまで……。そうして強化に成功したU−19インドネシア代表はU−19東南アジア選手権でPK戦の末優勝する。そして夢のU−20W杯に向けて挑んだU−19アジア選手権最終戦。韓国に挑んだU−19インドネシア代表。苦戦の末、ついに逆転する。はるかなるW杯への道……。


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02月22日(日)
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