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サッカー観戦日記
by T.K.
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■全日本ユース(U−15)奈良大会準決勝 ソレステレージャ−法隆寺 高田−YF
こちらは詳細は書かず簡潔に。まず高田は前田(現大分)のいた時代はパスは横にしか禁止でロングキックは一切なし、当然ドリブルで相手を交わすことが求められるサッカーで衝撃を与えた。それが3年生チームは飛ばしのパスを使うようになり、プレミアカップ用の1年生主体のチームでのみ、隣へのパス&ドリブル多用となった。しかしU−13の関西リーグ、ヤマトタケルリーグが開催されるようになって、1年生も普通のサッカーにシフトしていったという。高田は位置づけが難しいクラブだ。滋賀のセゾンだったら、結果を一切無視して育成に専念できるだろう。他のも育成で実績を残すクラブがあるからだ。しかし奈良に於いて高田の存在は大きい。結果を無視するわけにもいかないのだろう。そういうわけで、ドリブルは上手いが、普通のサッカーをやっている。しかも滋賀には野洲高校と言う、セゾンと方向性の似ている高校があり、一貫的な指導が可能だ。これに対し、奈良には育英にせよ、一条にせよ、高田のサッカーからは程遠い。高田はU−18も作ったが、レベル的にはまだまだだ。つまりU−15での育成は難しい。しかも奈良は各指導者のサッカーへのこだわりが強く、北部と中部に間での人材のやり取りも少ないらしい。なかなか奈良県サッカーの発展に困難な条件がそろっている。だから大阪や京都に人材が流出するのだろう。
YFについてだが、柳本さんはフットサル施設の経営をされている。だからサルのエッセンスを取り入れたくらぶではないか、と想像したが、実態はまったく違っていた。不入りーランニングが多く、チーム全体でスペースを作っては、そこへ味方を走らせて、生かすやり方。くせは少ないが、基本に忠実。山野さんのカラーなんだろう。今年の高田はドリブルで一人抜けても、ふたり目を抜くだけのタレントはいない、だからカバーが忠実なYF守備網を破れない。むしろYFが支配していた。ただ高田も相手ドリブルに対する守備はいいチームなので、最後の一線は割らせず、スコアレスが続く。そして後半16分、YFの左クロスに大柄な平間君が飛び込み、ヘッドを決めて先制。高田の10番久保君は傑出した技術こそ無かった闘志が素晴らしい。これが高田で10番をもらえる理由だろう。終盤になっても全力でのフォアチャックを怠らず、YF守備陣に自由なパスを許さなかった。高田はFKの放り込みが多くなり、ベンチからも「長いボール」と指示が飛ぶ。かつての高田だったら考えられない指示だ。しかし決定機は奪えず0−1でタイムアップ。YFの順当勝ちだったと思う。山野さんの指導力は相当なものだった。傑出した個性は無いクラブだが、基本が出来ていて、どこへ行っても戦力なりそうな選手がそろっている。1期生だそうなので、実戦経験も豊富だろう。なかなか楽しみな新興チームが確認できた。
奈良のベスト4を観た感想だが、レベルは高い。大阪や京都の街クラブよりも高いのではないか?ただ高校サッカーのレベルが低いのはもったいないと思った。奈良育英も一条も癖があるし、県全体のレベルを上げると言うことは、多様なクラブが生まれ、それにフィットする高校があるということだ。滋賀は野洲と草津東ではまったく方向性が違う。守山北も綾羽もそうだ。特定のチームに頼った強さは県全体の強さではない。そういう意味で奈良は困難を抱えている、と思った。
10月08日(土)
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