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サッカー観戦日記
by T.K.
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■高校選手権決勝 鹿児島城西−広島皆実
45分、皆実・松岡に警告。故意のハンド。48分、左CKでファーに上げたボールをGKの前に大迫勇が飛び込みヘッド、上に外れる。高い。52分、皆実、右CKを谷本が入れ、ファーで井林がヘッド、GK正面。7分、城西・河野→鮫島。そのままボランチへ。やや試合は膠着する。62分、城西・大迫勇がキープから右へ、平原が右クロス、野村が正面フリー、インサイドで決めて2−2。乱打戦なら城西のほうが慣れている。これで展開が面白くなってきた、と思った。しかし66分、皆実、RB村田がハーフ付近で受け持ち込み、松井をスピードでタテにかわし、右クロス、ファーで金島がヘッド、決まって2−3。完璧なサイド攻撃だった。68分、城西・大迫勇がポストプレーから反転突破、GKと1対1になり股間を狙うがセーブされる。大迫は強引なまでの反転もあり、なかなか止められない。しかし神舎も好対応だった。70分、皆実・谷本、左を突破して左クロス、中央で金島狙うが右に外れる。72分、皆実、村田が長い距離を突破、城西の室屋も50m以上追いかけるが村田の快速の前に追いつかない。しかしクロスはラインを割る。76分、城西。大迫勇のポストプレーから室屋シュートもGK正面。33分、皆実・玉田→秦。皆実は全体にペースを落とし、キープに入る。38分、城西・安田→大坪。大坪は城西では技術のある選手で、中盤でボールを持つと切り返して一人外してからサイドに展開するプレーが得意のようだ。大坪は前線に入り、野村がフリーポジション。この頃には皆実は城西陣内深くでボールキープを繰り返す。まだ時間があり、早すぎると思った。しかし時間は確実に過ぎていく。90分、皆実は金島→美濃。DFだったら美濃囲いというべきだろうが、中盤に入る。ロスタイムに城西はGKが2度、帽子を脱いでセットプレーで上がるが実らず。結局2−3で皆実が逃げ切り全国制覇した。
今大会の一番の注目選手は大迫勇だから、マスコミも城西中心の報道だったが、「スーパースターに対し、個々の能力で劣る皆実がチームワークで対抗」といった試合ではない。むしろ皆実のほうが個々の能力で上だった。技術でも運動力でも上回り、中盤を制し、サイドバックもどんどん攻撃参加した。FW金島もよく起点になった。皆実が勝つべくして勝った試合だった。
皆実は高校総体では全国制覇しているが、選手権は初制覇。サンフレッチェの下部組織出身者が多く、ユースに上がれない選手たちが腐らず精進して得た栄光だ。極端にいえば、いい選手をただ集めて、きっちり細かく指導することもなく、潰れれば自己責任みたいな印象を受けるJクラブもある中、広島はユースに上がれないような選手もきっちりと育てて、高校では全国レベルで通用する選手にした証拠だと思う。そしてプリンスリーグなどで、高校勢と対戦し、揉まれていく。広島は高校も皆実の1強というわけでもなく、観音ほかも強いし、いい状態だ。Jクラブと高校との理想的な関係かもしれない。
大迫勇は今大会では圧倒的だった。5年に一度の逸材といってもいい。しかし8月のSBS杯ではアルゼンチンU−19代表DF陣に手も足も出なかった。フィジカルの差もあったし、足元ばかりで受けるプレーを完全に読まれていたのもあった。世界は広い。普通に育てば、Jで通用するレベルにはなると思うが、大迫にはもっと上を期待したい。鹿島ではプレーの幅を広げ、きっちりプロでやれる体作りをして、それでいて試合勘を鈍らせない、適度な実戦経験が求められる。鹿島は育成実績もあるし、楽しみだ。
公式記録
01月12日(月)
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