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サッカー観戦日記
by T.K.
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■総体京都決勝 山城−向陽 JFL第13節 佐川印刷−国士館大
後半いきなり向陽・谷島の左クロスにニアへ森が飛び込むがクリア。2分、山城・若林→島。ケガではなく通常の交代。上半身が強く、強いキックもある選手。いきなりクロスをあげ、すんなりゲームになじむ。塩田のクロスや唐沢のスルーパス、阪部の速くて力強い突破と向陽がペースを掴む。7分、山城・樋口→田中ケンジが中央に入る。宮本がLHへ。切り返しが得意なテクニシャンで、彼の投入で中央からの突破も可能となる。向陽も森→福田が入る。11分、向陽のシュートがDFに当たりCK谷島の左足のボールをファーの西岡が折り返し長谷川が高いヘッド、これはGK須藤好セーブ。後半立ち上がりは向陽ペースでパスミスが減り、ボールを有効に回し、チャンスを作り始める。16分、向陽・北川→都留。FKも蹴る北川は中心選手だと思ったが、都留も小技が上手く、中から崩せる選手だ。17分、後半沈黙していた山城ブラスバンドが突然ルパン3世演奏。ビックリというか効果的な応援というべきか。17分、カウンターに入る向陽・谷島を引っ掛けた山城・中田に警告。この時間帯向陽は乗っていた。しかし攻撃時の守備の備えは拙く、SBやボランチのポジションが甘く、山城の攻撃陣と守備陣が同数で、裏を取られたらヤバイ、ということが多かった。しかし山城も裏へのパスは出せず。守勢の山城も田中のカバーリング、岡本の高さ、中田の献身的な動きなどでよく耐える。福田のポスト直撃弾など惜しいチャンスを決めきれない。30分、スピードある突破を繰り返した向陽・谷島が足を攣る。中心選手だけに交代はなかったが、この後向陽は足を攣る選手が続出し、止むを得ない交代が続く。坂口→平井、唐沢→森近。残り5分は山城がペースを取り戻す。終了間際の山城・宮本の左クロスをニアの木詰シュートは長谷川が凄いダッシュでブロック、しかし長谷川もこのプレーで足が攣り、井倉に交代。ロスタイムには山城が正面20mでFKを得るが、宮本のシュートは上へ外れる。このまま延長へ。後半のシュート数は2対6と向陽ペースだった。しかし向陽は交代枠5人を使い切った上、足が攣りそうな選手が何人もおり、常識的には99%勝ち目が無く、残り1%もPK戦かな、という過酷な状況となってしまった。

案の定山城の猛攻開始。延長開始1分、宮本のクロスを木詰ヘッド。3分、木詰の左クロスがファーへ、見事LB塩田の前をとったRH島だが決定機を外す。ドフリーで決定的なクロスを上げるチャンスにミスキックなど山城も明らかに疲れている。シュート3本で前半終了。後半開始すぐ向陽・CB前野が足を攣りピッチ外へ。なんとか復帰する。直後向陽が無謀とも思える攻勢に出る。5分、向陽・田中ケンジのドリブルから都留がDFの裏にパス、足が何度も攣っている谷島が決めるが完全にオフサイド。この時向陽は3人同時にオフサイドポジションにいた。もう周りを見る余裕はまったくなさそうだ。9分、カウンター左で受けた田中ケンジからのパスを前半から出場の西岡が右足20mミドル、これが決まり向陽が何と先制!残り時間の山城の攻勢を凌ぎ、全国行き決定だ。もうこれは奇跡的勝利としか言いようが無い。

高校サッカーを見ているとごく稀に信じられないゲームに出会うが、この日のゲームはまさにそんな内容だった。向陽はスタメン中7人までが足を攣るという体力面に難を抱えるチームで、延長時には2人が足を攣ったままプレー。他にも動きの落ちた選手がいた。精神的にも余裕が無く、したたかに勝利を狙っているとは言い難かった。相手のミエミエのオフサイドトラップに引っかかったり、テレフォン・パス(バレバレのパス)をカットされたり・・・・・・。延長後半の人数をかけた攻勢も無謀だった。PK戦狙いが最良の選択のはずだ。カウンターを浴びても戻りきれない。が、向陽は勝ってしまった。選手たちは勝算云々の理性ではなくシンプルな闘志しか頭に無かったのではないか?こういう極限状態を経験したことは今後の人生に大きな財産として残るだろう。純サッカー的に見ると向陽は問題山積である。しかし今の率直な気持ちはただひとつ。

向陽高校サッカー部、感動をありがとう!




JFL第13節 佐川印刷−国士舘大
6月15日(日)西京極 14時 ピッチ良 曇 無風


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06月15日(日)
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