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ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■忘るる事象について、いくつかの報告(1)
※BL■ACH劇場版第3弾について、あの笑撃!? のラストへのフォローと、ちゃんちゃん☆ 的最大の謎について、小説にしてみました。
こういうのって本当は、劇場公開終了後まで遠慮するのが筋なんでしょうが、早い者勝ちって気もしますんで。
一部ネタバレあるんで、ネタバレ嫌な人は読まんで下さい。OK?
注意:DVDが無事発売されたんで、先日まで行っていた反転解除しました。そのままお読みください。
**********
忘れることが不幸なのか、あるいは幸福なのかは、きっと誰にも分からないことなのだろう。
◆本職と代行の失態◆
とりあえず、瀞霊廷始まって以来の未曾有の壊滅危機が回避され。
黒崎一護たち一行を現世へ帰すべく、穿界門を開く手続きを行っていた時である。ちょっとした騒動が起きたのは。
「ところで一護くん。君が同行させていた、あのライオンのぬいぐるみはどうしたんだい?」
浮竹十四郎に素朴な表情で尋ねられ。
小首をかしげていた一護は次の瞬間、顔面から一気に血の気を失せさせ、絶叫する。
「だーーーっ!! しまった、コンの奴どこに行った!?」
その慌てぶりは、護廷十三隊を皆敵に回していた際にはついぞ見られなかったもので、居合わせた死神たちをひどく驚かせた。
そして、そんな彼の様子に、落ち着きを無くす者がもう1人。
「何だと、一護! 貴様コンを、どこかに置き忘れてきたのか!?」
朽木ルキアは先ほどまで、一護とのしばしの別れを惜しんでいたのだが、その穏やかさもどこへやら。狼狽の色を隠そうともしない。
「戦闘中に落っことされて、死神連中みたいに固まっちまったんだよ! ま、まさかどっかで砕けたりしてねえだろうな?」
「馬鹿者! それを言わぬか、早く探すぞ!」
言うが早いか、ルキアは瞬歩でたちどころに姿を消す。
一護もすぐに後に続いたが、浦原喜助の、
「手分けするんだったら、伝令神機で連絡取り合わないと、行き違いになっちゃいますよー」
との言葉は、果たして聞こえていたかどうか。
「全く・・・仕方のないガキどもじゃのう」
ふう、とため息をつき、浦原の肩口から黒猫が一匹、地面に降り立った。むろんそれは、四楓院夜一の仮の姿で。
「喜助、儂も探してくる。猫の視線でないと、分からぬこともあるじゃろうからな」
「そりゃまあ、コンさんのあの大きさじゃあねえ」
「すぐに戻る故、いい子にしておるのじゃぞ?」
「・・・アタシも子供扱いっスか・・・?」
微妙にふて腐れた顔に溜飲を下げたのか、夜一は一瞬口を笑みの形にゆがめてから、すぐ姿をくらませた。「瞬神・夜一」の異名は、未だに健在らしい。
◆阿散井恋次の場合◆
日番谷冬獅郎は、そんな現世組の姿をしばらく眺めていたのだが、ふと思い立って視線を転じる。
「・・・・・・・」
そこには、何やら苦虫を2、30匹ほどまとめて噛み潰したような形相の、阿散井恋次が立っていた。彼はルキアたちが走り去った方角を、黙って見つめたままだ。
自分もそうだが、護廷十三隊の死神たちは皆、朽木ルキアのことを忘れさせられていた。それは、彼女と幼馴染であった恋次も例外ではない。
・・・いや、むしろもっとも親しい間柄だったこそ、忘れていたことがショックだったのではないだろうか。
現に、ルキアが記憶を取り戻してからも、何やら彼の様子がおかしい。いつもなら、2人で漫才のような小気味いい会話を繰り出しているところを、身の置き所に困り果てた、と言う感じで、彼女と着かず離れずの位置を保っていただけだったのだ。
日頃元気な男が、いわば意気消沈しているのは調子が狂う───日番谷が恋次にわざわざ声をかけたのは、多分そんな気持ちの表れだったのだろう。
「阿散井。何だその情けねえツラは」
「日番谷隊長・・・?」
「いい加減、今回の失態は忘れろ。
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12月24日(水)
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