ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
[61396hit]

■やっぱりパパにはかなわない (モン◎ーターン)
 えー、マイPCの調子が悪いこともあって、本館HPの方は全然更新してないくせに、何故かこっちは続けさまに更新してる、真面目なのか不真面目なのかよくわからないちゃんちゃん☆ であります。
 さて、今回はあらかじめ言っておくと、蒲生さんと榎木さんは出て来ません。珍しくノーマルカップリングの話です。何となく思いついたものでして。
 え? 誰と誰の話だって? それは読んでのお楽しみv でわ、後書きにてまた。
(ってか、タイトル読めば何となく分かるかも・・・)

**************

 それは、年末の賞金王でのことだった。
 手持ち無沙汰になったのもあり、シリーズの方に出ている父親の姿を探していた洞口雄大は、こともあろうに女子選手たちと楽しそうに談笑しているところに出くわしたのである。

「やだ、洞口さんってばそんなことおっしゃって」

 中には、波多野の東京支部の先輩でもある、萩原真琴もいて。漏れ聞いたところによると父は、彼女のファンだと言ってはばからないらしい。
 母親大事、のところが多分にある雄大としては、父親のそんな光景を見ていると ムカッ! と来てしまう。
 とは言うものの、聞き流してしまえばいいところを、立ち去らずにその場にいる辺り、親子関係が以前から比べて随分修復された、証拠であろう。

「・・・で、賞金王シリーズなんて私も初めてでしょう? 後輩に『ここで緊張しない方法、教えてください』なんて言われても、困ってしまうんですよねー」

 とりあえず今は、選手同士の真面目な話になっているらしい。
 でももし、変に浮ついたような話題にでもなったら、無理やりにでも割り込んでやろう、と雄大は決意する。

「洞口さんはそれこそ常連でしょう? どうやって乗り越えて来られたんですか? 是非、ご伝授してくださいよ」
「ははは、あいにくだが企業秘密だて。だが、やはり経験を積まないことにはどうにもならんと思うがねえ」

 ・・・しかし、どうでもいいことだが。
 今は皆忙しくて、廊下に誰もいないのは雄大にとっては幸いであった。でなければ彼の方が、礼儀知らずの立ち聞き犯として糾弾されたに違いない。

「じゃあ、洞口さんも初めて出られた頃は、やっぱり緊張されたんですか?」
「んー、どうだったかな? もう随分経つし、忘れちまったよ」
「わあ、さすが余裕ですね」
「ひょっとして、洞口さんほどの実力者ともなると、あんまり緊張とかしないんですか?」
「おいおい、そんなことはないぞ。大体、緊張を忘れちまって惰性で動くようになった時が、一番危ないんだ。君たちも気をつけた方がいい。怪我するぞ」
「はい、そうします」

 一応は、先輩選手として後輩を指導する立場を忘れてはいないらしい。
 いい加減雄大も、自分のやっていることのおとなげなさに気づき、「この分なら心配ないだろう」と、自分の持ち場に戻ろうとした。

 その時である。

「・・・まあ、こいつはワシのやり方なんだが、生涯で一番緊張した時のことを思い出せば、どんなことでも乗り越えられるような気がするんだがね」
「え・・・じゃあ洞口さんって、賞金王より緊張することがあった、ってことですか?」
「おお、あったぞ。あの時から比べれば、他のことなんか屁でもないわ」

 ───そいつは初耳だ。

 好奇心も手伝って、思わず耳を欹(そばだ)ててしまった雄大は、その直後ぎょっとした。

 父親が、その独特のいたずらっ子のような笑みを浮かべて、肩越しにこちらを見ていたのだから。

 ───イヤな予感がする。

 雄大は「それってどんなことなんですかー? 教えてくださいよー」と父親に聞く女子生徒の声を振り払うように、その場を立ち去ろうとしたのだが。

 父親の爆弾発言が、彼の逃げを決して許さなかったのである。

「そりゃ、ウチのワイフにプロポーズした時に決まっておるわ」
「きゃーーーっvv」
「洞口さんてば、奥さんとはラブラブなんですかー?」
「おう、今でも熱愛しちゃってるのよ。で、その愛の結晶が、あの雄大ってわけさ」
「わあ、ご馳走様v」

[5]続きを読む

12月07日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る