ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■9年越しの水神祭  モン○ーターン
※えーーー。約3ヶ月ぶりの、まともな更新になるかと。
 今度更新する時は絶対小五郎ものだ! と思っていたのに、あくまでも予定は未定。同じサンデー連載ものでも、思いもよらないジャンルにハマってしまいました。
 ・・・ええ。当初読んだのは単行本4巻の教習所時代の話で、ごくフツーに物語を楽しんでいたはずだったのに、全ては20巻から登場くれやがりました、あの男のせいです。おまけにアニメ声が松本保典なものだから(ガウリィ〜vv)、もうすっかりドツボ。声優さんのコメントを聞きたいがためだけに「V」のDVD第3節を買い、今またケーブルテレビで放映している「V」をセコセコ録画している真っ最中です。・・・ああ、もう既に連載は終わっていると言うのに・・・☆

 ここのレンタル日記ではや○いなし、と決めているので、とりあえず蒲生さんと榎木さんの友情話を書いていきたいな、と思っております。でわ。

**************

「こいつはやっぱり、水神祭だな」

 今思い出そうにも、あの時一体誰が言い出したのかはっきりしないのだが。
 チャンピオン杯優勝者のゆっくりとしたウィニングランを眺めていた時に、いつの間にかそんな話になったのは事実。

 彼───蒲生さんは実に久しぶりのSG復帰にもかかわらず、そんなブランクなど露ほども感じさせない強さを発揮し。
 今節のチャレンジ杯で見事、SG初優勝を遂げたのである。

 ところで。
 一般人にはおそらくなじみがないだろうが、我々競艇選手には「水神祭」なるものがある。G1初勝利、SG初勝利など、レース上でおめでたいことがあった時に、その対象たる選手を水の中に放り込む、いわば通過儀式だ。

 むろん私も随分昔、G1初出場で初勝利を決めた時、先輩たちの手によって水神祭でびしょぬれになった記憶がある。
 その時の、まるでいたずらっ子のようにはしゃいでいた先輩たちの中には、まだ髪を染めていない頃の蒲生さんの笑顔があった・・・。

『ひどいなあ、蒲生先輩。今の、率先して加わってたでしょう?』
『阿呆、こう言うめでたいことに加わらんでどないするんじゃ。ま、そのうちワシの水神祭に参加させたるから、そん時今回の恨み晴らしたれや、榎木よ』
『ええ、それはもう。期待して待ってますよ』

 ・・・・・・。



「ちょ、ちょっと、蒲生さんに水神祭っスか? お気の毒ですよー。もう11月で水も冷たいし、それに、これから勝利者インタビューとかまだあるでしょ?」

 さすがに、我々より年少者の波多野君は、遠慮がちながら反対論を口にする。
 でも。

「何を言っとるんだ波多野。めでたいからこその水神祭だろが?」
「犬飼さん・・・何でそんなに嬉しそうなんですか・・・」
「あきらめろ波多野。我が身が可愛ければ逆らうな」
「お前が蒲生さんと一緒に飛び込む、ってんなら話は別だけどよ」
「和久井さんまでそんなこと・・・って、浜岡さん、何で負けた俺が水神祭なんスかあ?」

 このチャレンジ杯はベテラン陣が揃い踏みなこともあり、そんな意見は少数派に過ぎない。・・・蒲生さんにとって極めて、お気の毒なことに。

 そうこうするうちに、何にも知らずに戻って来た蒲生さんは、と言えば。
 それは不自然なくらいなにこやかな笑みの諸先輩方々に、あっという間に囲まれてしまったのである。

「ってことで、蒲生、待ちくたびれたわ! SG初優勝の水神祭じゃーー!」
「どわあああああっ!? タ、タンマ、タンマーーーッ!!」
「逃げるな、大人しく捕まれ〜!」
「よくやりやがったなー、こんちくしょー!」
「可愛げがなさすぎるんじゃ、あの勝ち方はーー」
「か、勘弁して下さいよー! この後インタビューあるっちゅうて言われてるんにー! 年寄りに冷や水はキツいわ〜」
「何が年寄りだ〜。まだ三十代のくせによ〜」

 大笑いする先輩たちと、引きつり笑いを浮かべるしかない波多野君たち。
 さすがに彼らに助けを呼んでも埒が明かない、と踏んだのだろう。蒲生さんはとりあえず傍観者を決め込んでいた私に、声をかけてきたのである。


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09月28日(水)
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