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ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■茂保衛門様 快刀乱麻!(7)−2 外法帖
*また長くなってしまって申しわけありません。
おまけにこの(7)ー2に限り、後日加筆訂正の予定ありです。急ぎ働き・・・もとい、やっつけ仕事の執筆なんぞ、やるもんじゃありませんな。でもせめて休みに入る前に、このコーナー更新していきたかったもので・・・。
これからしばらく、PCの前にはいません。5月3日辺りまでですけど。よかったら感想とか、下さいね。約1名申告してくださった以外、誰も感想くれないんですもの・・・(涙)
(4月29日加筆)
※と言うわけで、加筆修正しました。話の内容自体はあまり変わっていないのですが、具体的な描写を入れることで、隠された事件のおぞましさが伝わってくるのでは、と思います(汗)。一度でいいから人死にが出ない謎解き話、書いてみたいんですけどねえ・・・。では。
***********
茂保衛門様 快刀乱麻!(7)−2
「・・・榊さん、一体今のは何だったんですか? 又之助のあの引っ掻き傷に関しては、ちゃんと報告があったはずでしょう」
子供相手に大人げない口論をしたことで、御厨さんは呆れ顔をあたしに向けたけど、その問いにあたしは答えてあげない。あえて。
代わりにあたしがしたのは、別室から湯飲みを持ってくることだった。これは以前うっかり床に落としちゃって、飲み口の部分にヒビが入っちゃったやつ。気に入った形だったから直そうかとも思ったけど、実験にはちょうどいいわ。
呆気に取られている御厨さんをよそに、あたしは湯飲みを布にくるんだ状態で机の上に置き、まず上から拳で思いっきり! 叩いてみた。
ごすっ!
「・・・・・・いったあいぃ・・・☆」
や、やっぱりあたしの腕力じゃ無理みたいね。
お次は湯飲みを床に立て、手で支えた状態で足で蹴飛ばしてみる。
がつん!
ううっ・・・例え蹴りでも単に足袋越しでだと、痛いのには変わりはないわ。でも今度は我慢我慢。
さっきよりは力が入ったみたいだけど、それでも納得の行く結果が出ない。
「榊さん、さっきから一体何を・・・その湯飲みを割って、何をなさるおつもりですか」
それでも御厨さんは、あたしがどうやらその湯飲みを自力で割ろうとしていることだけは、把握したみたい。
まあ、あたしの部下としてならそのくらい頭が働かないとね。欠片が飛び散らないようにと布に包んじゃった辺から、勘付いたってところかしら。
「・・・ダメね。御厨さんならあるいは、割れるかもしれないけど」
つれない湯飲みを、つんつんつつくあたし。
「私が試してみましょうか?」
「それじゃ意味がないのよ。あたしみたいに非力な人間にでも割れるかどうか、の実験なんだから」
言いながら、最後にあたしが持ち出したのは巾着袋だった。
「榊さん、それは大事な物証で・・・」
そう。今あたしが手にしてるのは、さっき岸井屋が持ってきた血まみれの巾着袋なの。
御厨さんが止めるのも聞かないで、あたしはその巾着袋をゆっくりと湯飲みの上へと移動させ───そのまま落とした。
がっしゃーん!!
予想に違わず、湯飲みは粉々に割れてしまった。
「・・・よねえ、やっぱり」
あたしは巾着袋と、原形をとどめない湯飲みの包みを見比べながらひとりごちた。
「こんなに固い湯飲みでさえこうなっちゃうんだから、もしこれが人間に振り下ろされたりでもしたら、単なる巾着袋でもれっきとした武器になっちゃうわよねえ」
「なっ・・・!?」
あまりに飛躍した結論に、御厨さんが息を呑むのが分かる。
「ましてやそれが、体の弱い子供相手なら・・・昏倒させるのくらい、わけありませんよね」
「ま、待って下さい榊さん! いきなりどうしてそんなことを・・・大体この巾着袋は、岸井屋の持ち物ではないと言う話では・・・」
「・・・事件に関係してるとはまさか思わなかったから、あなたにはうっかり言い忘れていたんですけどね、御厨さん」
あたしの視線は哀れな『犠牲物』から、御厨さんへとゆっくりと移り、とどまる。
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04月27日(土)
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