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ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■茂保衛門様 快刀乱麻!(6)・前編 外法帖
※外法帖のCDドラマ、ちゃんと聞きました。まあ、話的には面白いのではないかと。時間的にはもう少し長くても良かったような気もします。しかしOPとして「風詠みて水流れし都」まで収録されていたと言うことは、ひょっとしてゲーム本編に組み込むつもりのシナリオだったのかなあ? などと、変に期待してしまったりして。それと我らが榊さん、叱り役以外の行動も見せて欲しかったです。切に(苦笑)。
さてさて、物語は今回1つの山場を迎えます。(ラストはまだ先の話です念のため)このSSを書く上での一番の目論見が、何とか果たせるといいのですが。
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茂保衛門様 快刀乱麻!(6)外法帖
他人があたしに見せる態度ってヤツには、いくつかの傾向があるわ。
まずは「オカマ」だの「女々しい」だのと、人の外見だけで中身を判断しようとする、ふざけた輩。《龍閃組》で言うと蓬莱寺京梧あたりがそうね。
・・・だけど、あたしが今まで会って来た人間の大部分が、これに該当するっていうのは、一体どういうことなのかしら。失礼だと思わない? それともそれだけ、小手先の見かけに騙される人間が多い、ってこと?
次に多いのは『火附盗賊改方与力』って言う、肩書きで見る奴。そりゃまあ、泣く子も黙るって噂の役職ですもの、無視できる対象じゃないのは確かよね。《龍閃組》の大部分がこうだし、後ろ暗いものを持ってる連中なら、どうしてもあたしをこういう意識で見ざるを得ないわ。
そして・・・悲しくもごくごく小数派なのが、そこそこの敬意と好意を持って接して来る人間。これはどうしても、火附盗賊改に属してる連中ばかり。
つまり、仕事であたしとある程度関わらない限りは、こういう態度はとらないのが普通なの。あたしの所謂『男らしくない』風貌と、火附盗賊改って立場は自然他人を遠ざけ、結果嫌悪と畏怖の対象になってるってわけ。
まあさっきも言ったけど、別にあたしは人に好かれようなんて思ってないから、それはそれで好都合だけど。
だから。
「あ、榊さん帰って来たよ」
の声で一斉に振り返った《龍閃組》の表情は、あたしには馴染みのないものばかりだったのよねえ。
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「「「「・・・・・」」」」
・・・ちょっと。見世物じゃないんだから、人の顔をそう覗き込まないでくれないかしら。珍しいものでも見るようなその表情は、一体何なのよ?
特に蓬莱寺京梧と桜井小鈴の2人!! いつもは眉をひそめて、いかにも嫌そうにあたしを見てるくせに、どうして今日に限ってそんな、困ったような目をしてるわけ?
あたしがいない間に、何か異変でもあったとでも言うの? けどもしそうなら、御厨さんが真っ先に報告してくれるはずだし。
「うーむ、人は見かけによらねえっつーか・・・」
「こ、こら蓬莱寺、いくら何でも榊殿に失礼だぞ」
「だってさあ、いかにも気弱そうで腰巾着みたいじゃないか」
「小鈴ちゃん、そんな風に言うものじゃないわ」
・・・聞こえてるわよ、一応遠慮して声は潜めてるみたいだけど。
まあお陰で、この4人が(特に約2名!!)普段、あたしをどう見てるかってことはよーく分かったけど、だからってそれがどうやって、今あたしを見る目が違ってる事実に繋がるかが、どうしても分からない。
・・・4人?
あたしはそこで、この場の異変に気づきつい、叫んでしまった。
「あの女はどこ!? 何でここにいないわけ?」
「あの女?」
「骨董屋の主だって言ってた、涼浬って女のことよっ!」
「「「「「あ!?」」」」」
《龍閃組》の4人と御厨さんは、あたしに指摘されて初めて気づいたみたいだった。たちまち狼狽の色が浮かぶ。
その場の混乱も、だけど瞬時に収まったけどね。他ならぬ涼浬が、静かに店の奥から帰って来て、こう言ったから。
「私ならここにおりますが、榊様。・・・どうかなされましたか」
───彼女の表情は先ほどと変わらない、無機質なまま。
「どうかなされた、じゃないわよ。あんた今までどこにいたわけ?」
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04月13日(土)
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