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ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■茂保衛門様 快刀乱麻!(4)外法帖
※外法帖CDドラマ発売まで、いよいよ残り10日切りましたね。火附盗賊改が中心の話、とのことですが、どんな物語になるのでありましょうか? 多分榊さんではなく、御厨さんがメインなんだろうなあ。複雑な気分・・・御厨さんも好きなキャラなだけに。ま、それが分かっているからこそ、こちらは榊さんメインで好き勝手なSS、書く事が出来るんですけどね(苦笑)。
で、こっちのSSではやっと《龍閃組》の登場であります。主人公は話がややこしくなるため登場しませんが、メインの4人組ともう1人、ちゃんちゃん☆ も当初は思いもしなかった女性が出てくれます。事件の性質上、彼女以上の適任はいないんですけどね、考えてみれば(汗)。でわっ!
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茂保衛門様 快刀乱麻!(4)外法帖
身支度を整えたあたしは、御厨さんと一緒に京橋へと足を運ぶ事にした。さっき与助に言った、木綿問屋の笹屋って店へ行くためにね。どう考えてもこの事件、笹屋も無関係とはとても思えなかったから。
え? だからどうして笹屋が、岸井屋の主・焼死に関連あるのか、ですって?
・・・そう言えばまだ、説明してなかったわね。じゃあ、簡単で良かったら教えておいてあげるわ。
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1月前のおろくの付け火、のことなんだけど、あたし言ったわよね。
「この小津屋って商人は店を大きくするためにって、裏では結構あくどい事をしてたって有名だった。主を怨んでたり、殺したいと思ってた人間は山ほどいた」って。
・・・まあ先に結論を言っちゃえば、その容疑者たちの中に岸井屋の主・又之助と、今訪ねようとしている笹屋の主・久兵衛(くへい)がいた───ただ、それだけのことなの。
ただ彼ら2人は当初あたしたちの間では、他の容疑者とは別格に扱われてた。何故かって? こともあろうに2人とも、火事が起きた時刻前にたまたま小津屋へ訪れてて、顔を合わせてたからよ。
何でも彼らは揃って、店はそこそこに繁盛させてはいるものの、小津屋に相当な借金があったって話。その返済日が間近に迫り、どうもまだ返す事が出来る目星がつかないからと事件当日、返済を待ってもらおうと別々に頼みに来たんだけど、けんもほろろに突っぱねられたらしいわ。
「金を返さない人間は、うちの敷居をまたぐ資格などないわ!」って。
おまけにその時、玄関口で小津屋の主が、
「今度会う時は、そちらの店の看板を戴きに参上する時だろうなあ」
・・・なんて、よせばいいのにわざわざ怨みを売りつけるような嘲笑混じりの言葉を浴びせ掛けたのを、近所の人間が何人も目撃している。
火の気が上がったのは、その直後の事だった───。
───こうなると動機の点からも、岸井屋と笹屋を疑わない方が不自然よね。火事で証文が焼けてしまえば、小津屋の借金は返さずに済むんだもの。当然、店の看板を取られる心配もないし、殺してやりたいって怨みもかなりあるはずだし、ってことで。
おまけに2人とも、玄関口で追い出されたその後で、何故か店の裏口から出て来たのも目撃されてたのよね。裏口から入るところはあいにく、見られてなかったらしいけど。
で、泣く子も黙る火附盗賊改方役宅へ呼ばれた2人は───どちらかと言うと多弁だったのは、今回死んだ岸井屋の方だったけど───揃って主張したの。
「確かに自分たちは追い出された後、小津屋にとって返した。だけどそれは再度返済日の延長を申し入れるためで、裏口から入ったせいか結局会えなくて、諦めて戻って来た」ってね。
でもさあ・・・「結局会えなくて」って話が、どこまで信じられると思う? 本当は小津屋の主とばったり出会って、前以上に罵られた挙げ句にカッ! となって火を付けた、ってこともありうるわけじゃない。それを隠したくて「会えなかった」って口走っちゃったとしても、人間の心理としてはよくあることよね。
こうなったら、2人を拷問して白状させるしかない、って担当者が考えてたら、又之助が思い出したようにこう、言ったらしいの。
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03月21日(木)
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