ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■その扉を開くのは(前編)【鳴門】
わざわざ自分の病室を待ち合わせ場所にした理由は、何となくカカシも見当がついていた。が、一番火影が話したかったであろうリー当人たちは、不安と期待の混ざった表情で立ちすくんでいる。
とりあえず座った方が、とカカシがすすめた椅子も、ここでは最上位の火影が立ったままなので、他の誰も使わないままだ。何より、苦渋を隠しきれない彼女の空気が、腰掛けることを躊躇わせる。
彼女は、巻物を一つ持参していて、リー、テンテン、そしてカカシから集まる視点から目を逸らすためのように、それを静かに広げた。
「・・・実はな。この戦争が始まる前、自分にもしものことがあった時のために、と、ガイは遺書を遺していたんだ」
「遺書、って・・・」
「ガイ先生はまだ亡くなっていません! そんな言い方はしないでください!」
火影の言葉の意味を、テンテンはまだ飲み込めていないらしい。そしてリーはと言えば、『遺書』と言う言葉に過剰反応した。
「まあまあ、2人とも。例え本人が生きていようとどうだろうと、万が一亡くなった時のために遺すのが遺書、ってもんだ。揚げ足取りみたいなことはどうか、と思うよ?」
まさか年少者を宥めさせるためにここを待ち合わせ場所にしたんでもあるまいに、と思いつつも、カカシは分別のある言葉でリーたちをなだめる。
元々礼儀正しいリーではあるから、すぐに自分の失言に気づいた。即座に「スミマセン」と頭を下げるのを、火影は力なくかぶりを振ることで許す。
「イヤ、お前らの気持ちは分かる。だが、もう残された時間が少ないのでな。もったいぶる事も出来ないが、気を悪くしないでくれ」
───やはり、か。
こんな形で、自分の推測が当たって欲しくはなかったものだ、とカカシは口布の下で密かに、唇をかむ。
「この遺書は、ガイが、自分にもしものことがあった時のために、と託されたものだ。今から読み上げるから、よく聞いてくれ」
そうして火影は、固唾を呑んで見守る一同の前で、静かに言葉をつむぎだす。
「わたくし、不肖 マイト・ガイが10日以上意識を取り戻さず、
なおかつ、意識を取り戻す手立ても可能性もない場合。
あるいは、戦闘中等に死亡が確認された場合。
以下のことを執り行ってくださるよう、切に願います。
わたくしの身体を、骨の一本も、
内臓のひとかけらも残さぬよう、
全て火葬して灰にしてください」
───これ以上ない重苦しい衝動が、病室にいる人間全てを襲った・・・。
◆続く◆
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※別所にて、「ガイ先生が無限月読に巻き込まれていなかったら」と言う特殊条件の話を発表したんですが、実はこちらの方が先に思いついた話です。
大元は一緒だったんですよ。いつの間にかカカシも知らないうちにガイが居なくなった、って前提は。けど、向こうはカカガイ前提なのと、いなくなった理由がリーを助けるためだった、ってこともあり、全く違う話になっちゃいましたが。当然、書きたいことも全然違うんだな。
尚、ガイ先生が行方不明になった理由は、前作の「追憶」でガイ先生自ら語ってくれましたが、さすがに他人であるカカシたちはそう言った事情は全く、分かってません。いくら察しのいいカカシでも、ガイの行動のすべての理由を分かっているはずはないんだということを、表したかったんです。まあだからこそ、言葉を交わして理解しあおうとするんでしょうし。
ちなみに、サスケがガイの不在に気づいたのは、初対面の頃のデ・ジャヴを感じていたから。ガイ先生初登場の頃の「俺はカカシより強いよ」のアレで、目に見えてたはずなのにいなくなっていた状況と同じだったから、だったりします。あの時と同じで、サスケもガイ先生に一目置いてくれてたらいいんだけど・・・最近の原作、ガイ先生欠片も出て来やしねえ・・・★
さて・・・これから後編書くんだよな・・・約一ヶ月かかってるんだよな、今回の話書くだけでも。一体どれだけの執筆期間になるんだろお・・・(ーー;;;)
10月06日(月)
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