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ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■茂保衛門様 快刀乱麻!(8) 外法帖
「あはは、それはそうだ。坊やも与助と似たり寄ったりの騒がしさだものねえ」
「何だとおっ」
会話そのものは平和極まりない内容だったけど、あたしはいてもたってもいられなかった。
風祭とやらの男の顔を確かめるべく、あたしを庇ってくれていた御厨さんの体を押しのける。
「榊さん?」
御厨さんが怪訝がって。
「そう言えばさっきから、誰を庇っていたんだい? 八丁堀」
あたしの行動に気づいた桔梗、と呼ばれた女が尋ね。
「・・・・・」
あいにく何の言葉も発しなかったのは、見れば僧侶風の男。
そして・・・。
「「ああーーーーーーっ!!」」
あたしと、そのお子様が叫び声をあげたのは、ほぼ同時だった。
髪を短く切ったそいつは一見、女の子みたいな優しげな顔をしている。
だけど口調は聞くからに乱暴だし、ガキ大将がそのまま大きくなったような奔放さと残忍性が見て取れる。
何より・・・あたしはこのガキんちょのことをよく知ってるもの。
あの日、あの刻、小傳馬町でっ!
だから、つい。
「て、てめえはあン時の役人っ! 火付盗賊改ってマジだったのかよっ!?」
風祭、と呼ばれたお子様の大声につられてしまって。
「あ、あんたたちはっ! よくもおめおめとあたしの目の前に顔を出せたものですねっ! ああっ!? まさか・・・まさかあんたたちがここにいるって事は、勇之介の魂とやらをそそのかしたのは、他ならないあんたたちってことっ!?」
御厨さんが。
『部外者』がこの場にいたことを、思わず忘れ。
あたしは心の赴くまま、声に出してしまっていたのだった───あたしにとって禁忌中の禁忌であるはずの、その言葉。
「鬼道衆!」
と・・・・。
《続》
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※はああああ・・・やっとここまで来たぞ・・・。長かったああ・・・☆ とは言っても、これから更に長いですが(汗)。これから鬼道衆ファンにとっては、かなり納得のいかない展開になろうかと思いますけど、悪気はありません。ちゃんちゃん☆ も天戒さん初めとする鬼道衆は好きですんで、良かったらお付き合い下さいね。・・・え? どんな展開になるか? それではヒントを出しましょう。陰ディスク拾壱話の直後、と言えばあるいは分かるかもしれません。
ところで榊さんが、九桐さんや桔梗の声に聞き覚えはあっても思い出せず、風祭の声は一発で思い出したその理由は、実はゲーム本編・陰4話にて「オッサン」呼ばわりされた怨みがあるからなんですな(苦笑)。(蹴飛ばされたような気もするんだけど・・・記憶違い?)ウチの榊さんてば、そういう観点ではちょっとばかり心が狭いです。
ちなみに文中で書いた八百屋お七火事ですが、落語と人形浄瑠璃と歌舞伎とがあり、さらにそれぞれの役名が違ってたりします。吉三郎と言うのが実は、お七が思いを寄せた寺小姓の方だという話もあったり・・・(汗)。とりあえず今回は太郎兵衛=寺小姓、吉三郎=ならずものとさせていただきましたが、唐変木の御厨さんはこういうものに興味があったんでしょうか。まあ、このころの娯楽って言ったらそのくらいしかないから、そういう知識はあったと言うことにしておきませうv
本当は、もっと御厨さんを格好よく描いてあげたかったんですがねえ・・・下手をすると彼の色香に迷った、なんてとられてはシャレになんない☆ このSSでは榊さん=モーホー説は抹殺! しておりますんで、そのつもりで。
05月19日(日)
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