ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■春の香は碧 【鳴門】 後編
「カカシ。・・・スマンな。ありがとう」
「俺も食べたかったんだよ。気をつけて行っといで」


 木ノ葉随一の機動力は伊達ではなく、言うが早いか3人は姿を消す。
 彼らを見送り、火影邸へ引き上げようとしたカカシは、ふと、僚友の残した言葉に、苦笑するのだった。


「スマン、ってのはともかく、ありがとう、って・・・木ノ葉の平和をありがとう、って意味もあるのかね、ガイ?」


 ───それは、お互い様デショ・・・?





 そうして。

 春の香が立ち込める中、騒がしく執務室へとやってくる一同の気配。


「おーい! 今年はなかなか、いい出来のが出来たぞ、カカシ!」
「あれ、シカマルくんもいらっしゃったんですか」
「お邪魔するわよお。あらあら、本当に火影様やってるのねえ? 元・写輪眼サマは」
「平和な泥だらけ、って言うのも、たまにはいいもんですねー。あとで銭湯に直行だけど」

「ご苦労様、みんな。おっ、気がきくねえ、ガイ。ちゃんと白米も炊いてくれてたんだ」
「さすがに昼間から酒、というわけにはいかんからなあ」


 炊き立ての白米をおにぎりに、焼き味噌をつけていただく。
 これに勝る平和が、そうそうあるだろうか?


「・・・うん、随分久しぶりだけど、美味しいねv」
「ホントだ・・・アタシの味覚、変わったのかしら? あんなに苦いと思ってたのに」
「大人の味ですねえ。意外にいけます」
「お店ではお茶漬けにもするのよ? シメにサイコー! ってねv」
「それも美味しそうだなあ」
「・・・カカシさん、今は執務中ですから。ンな恨めしそうな顔、しないでくださいよ」
「そうだぞカカシ。何のために白米を炊いたと思ってるんだ」
「分かってるよー二人とも。言ってみただけだってば」





 ───あの日、危機的状況の中、うちはマダラの前で。


『木ノ葉の碧き猛獣は終わり 紅き猛獣となる時が来た』


 そう、ガイは覚悟を決めていたけれど。


「ガイー」
「何だ? カカシ」
「やっぱりお前には、紅き春より、碧き日々の方が似合うンじゃない?」


 カカシがこめた言葉の意味を正しく知るのは、カカシ自身とガイ、そうしてあの場に居合わせたリー、の3人だけ。

 でも。


「・・・そうだな。願わくばこの碧き春が、出来うる限り長く続くよう、励むだけだな」


 ガイがそう答えるのに、だがこの場にいる皆が、同意するのだった。



 フキノトウの花言葉は、待望、愛嬌、真実は一つ。

 そして───仲間。


■終わり■

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 実は別所には、フキノトウの別の花言葉について、短く解説してあります。できたらあっちも、読んでくださいねーv
 CMでしたvv

04月17日(金)
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