ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■追憶【鳴門】
 でも今は───もう大丈夫だ、と、太鼓判を押せるよ。




 さっき、このところ忙しかったんだ、って言ってただろ? 父さん。

 実はね、今は戦争中なんだ。隠れ里が全部手を組まなきゃ世界が滅びてしまう、危機的な状況だったんだよ。木ノ葉も、砂も、他の隠れ里もそれこそ死に物狂いの総力戦がずっと、繰り広げられていた。

 そんな中であいつは、思いもよらない人間と再会を果たし、まあ色々あって、自分の気持ちとやっと折り合いをつけることが出来たんだ。

 さっき・・・あいつは笑っていたよ。自分の弟子たちが馬鹿やって子供じみた諍いをやらかしてるのを見て。
 何もかもを吹っ切った───そんな、今まで見たこともない笑顔を浮かべていたよ。

 結局、俺たちがしてた心配は要らぬお世話で、あいつの心の暗雲を取り去ることが出来たのは、この世でたった一人の人間だった、ってことさ。
 ・・・分かっていたことだけどな、最初から。


 だから───もう俺には、心残りなんかないんだよ、父さん。

 戦争も終わった。
 俺の弟子も、あいつも無事だった。
 俺の八門遁甲も、何とか時間稼ぎぐらいには役に立った。

 これ以上にない、ってくらいに、満足しているんだよ、俺は。



 ああ・・・今、脳内麻薬でも形成されてるのかね?
 こんなに血が滴って痛いはずなのに、あまり感じてないぞ、俺は。
 その代わり、体がダルい。重い。もう立ち上がるのも適わんな。



 父さん───心残りがない、ってさっき言ってたけど、1つだけあるにはあるんだ。

 けど、もうそれは適わない。だからもう願わない。

 こんな満身創痍の体では、もうどうしようもないんだ。だから。


 ───あいつと、熱いライバル勝負を、
心置きなく、もう一度───なんて・・・・・・・・。






 誰かが、耳元で、俺の名前を呼んでいるような気が、した。
 けれどもう、俺にはそれが誰の声なのか、判別することは適わない。

【終】

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※ここまで書いておいて、念のため。

 これは死にネタではありませんm(__)m

 イヤ、つい思いついちゃったもんだから、だらだらと書き連ねたって言うか・・・。
 日頃あんまりこういう暗い文章書かない、なるべく前向きを目指してる(ガイ先生みたいv) ち☆ ですが、たまーに鬱モードに入るという。
 それがたまたま今回だった、ってことです、ハイ。(コンメインの話「いつか来たる結末、されど遠い未来であれ」の際も言ってたな、似たようなこと)

特に今回、人名入れませんでしたけど、誰が誰かはわかりますよ・・・ね??
分からなかったら困るから、一応解説を。


○上忍になった弟子・・・ネジ
○落ちこぼれだった中忍・・・リー
○潤滑油な女の子・・・テンテン
○正反対なあいつ・・・カカシ
○死に急いでいると評した同僚・・・アニメの紅
○思いもよらぬ再会した・・・オビト
○馬鹿やってる弟子・・・未来捏造・ナルトとサスケ(サクラも?)


 ついでに言うならば、ち☆ はネジのアレは未だにどうにも納得できてません。
けど、理性的に考えたら、蘇生は無理っぽいぞーと。だからこういう形になってしまいましたが、ネジ生還派です、これでも。

 何かねえ、精神のほとんどが少年漫画どっぷりなのに、たまーにドラマチックな少女マンガにあこがれたりしちゃったりするんですよ。で、こういうのを書いちゃう、と。
 ・・・だって、ねえ? これって少女マンガっぽいでしょ(^^;;;)


 これで死にネタじゃない、ってのは、実は続きの話があるから、なんです。
 ただし、流れ的に続きなんであって、話的には視点が違ったりして、感じが異なる印象になる予定です。念のため、

07月16日(水)
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