ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■過ぎし夢 来たる朝(1)外法帖・天戒×女主?
言いながら、自分の羽織っていた着物を龍斗にかけてやる。水に濡れた着物が、女人の肌を隠す役目をもはや果たし得ない、と言うこともあったが、何より今の彼女は儚く、痛々しいことこの上なかったから。
唇は青褪め、体中の血色も悪く、おそらくは寒いのだろう・・・歯を食いしばっているものの、体の震えは隠しようがない。
「・・・一体何があったと言うのだ? この季節の水浴びなど、正気の沙汰ではないぞ。良かったら、何がお前をそうしているのか、話してはくれないか?」
思い切って天戒はそう尋ねてみる。
心配をかけた挙げ句に、着物まで貸してもらったとあれば、黙っているわけにもいかない───そう思ったのか、龍斗は何度かためらった後、困ったような笑みを浮かべてこう、告げた。
「大した意味はないのですよ、天戒殿。ただ・・・さきほど悪夢を見たものですから、夢の名残を少しでも消したいと、そう思っただけなのです」
<続>
02月23日(土)
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