ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■Darling(1)SD・流×彩?
流川は、無理やり女にキスしようとしていた男を、思いきり蹴り上げてやったのだった。
「てめえ・・・流川!!」
やはりと言うか。男の方は、流川も良く知る人間の一人だった。バスケ部のエースで、確か名前は塚本、とか言ったか。
蹴倒されたのならまだキスもできようが、流川はわざわざ「蹴り上げて」やったのである。まともに吹っ飛んだ塚本が我に返った時には、さっきまで迫っていた女は逃げ去ってしまった後だった。
「どう言うつもりだ! 仮にも先輩に向かってよ!?」
「昼寝の邪魔」
いけしゃあしゃあと答える。一応は嘘ではなかったので。
完全に馬鹿にされたと感じ、塚本は怒りで蒼ざめたが、ここで暴力を振るうほど愚かでもない。
「・・・後悔するなよ、流川!!」
そう捨てゼリフを残して、さっさと立ち去ってしまった先輩を、どこか他人ごとのように見送る流川であった。
「流川、流川」
そばの草むらから囁く声がする。
視線を巡らせた流川の前に、ばつの悪そうな笑顔を見せながら這い出して来た女生徒、1人。
言うまでもなく、さっき流川に助けられた格好のアノ女だ。
「アリガト。助かったわ。まさかあんたに助けられるとは思わなかったけど・・・」
「昼寝の邪魔だっただけ」
「・・・寝るのが趣味って、本気だったのねアンタ・・・」
呆れたように女が頭を押さえるのを、流川は怪訝そうな目で見つめる。
確かに、何処かで聞いたような声だと思ったのだが・・・?
流川の、探るような視線に気付いたのだろう。女生徒は腰に手を当てて仁王立ちする。
「まさかとは思うけど・・・アンタまた、あたしのこと誰だか忘れた、とか言うんじゃないでしょうね?」
「・・・・・・・・・・☆」
「図星、って顔してるみたいだけど。・・・まあいいわ。何度でも教えてあげる。あたしは2年の彩子よ。男子バスケットのマネージャーやってるの」
「あ」
「やっと思い出したみたいね。ったく、他人に興味がないって言う噂、本当だったわけ?」
言いつつも、彩子の目は怒ってはいない。仕方ないなあ、と肩をすくめただけで、その件に関しては不問に帰してくれた。
「その代わりと言っちゃなんだけど・・・お願いがあるのよ」
「?」
「さっき聞いてたでしょ?あたしと塚本先輩との話。悪いけど・・・誰にも話さないって約束してくれないかしら?」
流川は無言で頷いた。元より、他人の色恋などどうでもいいことだ。
だが。
これが富ヶ岡中バスケ部にとってちょっとした騒動を呼び込む結果になろうとは、思いも寄らなかったのである。
ましてや。
他人の色恋などどうでもいい、と言う流川の主義を、少なからず揺るがすことになろうとは・・・。
───放課後。授業中をずっと寝て過ごした流川にとって、一番待ち遠しい時間だ。
今は一年のみんなと一緒に基礎ばかりやっていて、なかなか試合はさせてもらえないのだが、それでも彼は真面目に通っている。
が。今日はなにやら様子が変だった。体育館の一角に部員たちが集まり、何やら騒然としているのは一体・・・?
ちょうどその時。
「チュース!!」
声をかけ、体育館に入ってきたのは彩子であった。
とたん、部員たちはいっせいにそちらを見やり、駆け寄って来る。
「「「彩子!!」」」
「?」
ぼーっと突っ立っていたため、結果的に彩子と一緒に詰め寄られるハメになった流川だが。
「おい彩子!塚本先輩が辞めたってどう言う事なんだよ!?」
───眠気が一気に覚める・・・。
「まあまあ落ち着いて。そんなに喧嘩腰でまくし立てられると、彩子君だって困ってしまうよ」
穏かな感じの3年生───名前は忘れたが男子バスケ部のキャプテンだったはずだ───が、みんなの間に割って入るが、冷静さを取り戻す役には立っていない。
「だけど二階堂先輩、こんな時にエースに辞められたら、大会どうなるんですか」
「そうだよ!俺達今年はいいところまで行けるかもって、楽しみにしてたのに!」
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09月02日(日)
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