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ドラマ!ドラマ!ドラマ!
by もっちゃん
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■銀ちゃーん、もとい、いのどーん
1982年だって、映画「鎌田行進曲」・・・20年だよー。今、映画観直したら、きっと驚くくらい二人はやっぱり老けてると思う。あきらかに風間杜夫は小太っているし・・・。もう「銀ちゃん、かっこいー!」なんて、とても言えないよな中年おじさまなのである。でも、子供の頃に「鎌田行進曲」を観た私にとっては風間杜夫は「銀ちゃん」なのである。っていうか、もう勝手にあだ名って感じだけど。最近こそ「風間さんテレビ出るね」とか言うけど、長いこと「あ、銀ちゃんだ」ってどんな役の風間杜夫に対しても言ってた。それは篠田三郎を「先生」と呼ぶのと同じくらい私にとっては普通のこと、ってこの例が私にしかわからないね。くすくす。

 明治座5月公演は『居残り佐平次〜次郎長恋の鞘当〜BAKUMATSU GRFFITI』。一応商業演劇の形をとりながらも、風間杜夫の座長公演というよりは、風間×平田のダブル座長ともいえるし、作・演出をやっている水谷龍二『星屑の会』×つかOBともいえるし、普段の商業演劇の座長を盛り立てるための脇役というより、全員が前へ出てきてこの二人と絡む。ちょっと異質な明治座公演ではないかしら?

 佐平次・・・何も知らずに聞くとええ名前に聞こえますが、元々は楽屋の隠語で、ペテン師、インチキ、おしゃべり、差し出口など、歌舞伎の楽屋を経て、演芸の世界へ、寄席の楽屋でベラベラおしゃべりするものを「佐平次をあがく」といったそうです。古典落語「居残り佐平次」がベースに。この居残り。これは廓遊びを支払う金もなく堂々とやってのけ、いざお会計になったら金はない、友人が持ってくるまで居残らせてもらって雑事でもしています、という、江戸庶民のバイタリティーと粋から生まれた、今では考えにくい、一種のペテン(?)。

 この日、仲間を集め品川の遊郭で遊び、それぞれから約束の少量の銭を集めた佐平次は、支払いは俺がやっとくから、この金を一人暮らしの母親にしばらく食いつなぐには充分だろうから届けてくれと頼み帰す。無一文の佐平次ははなから居残りをきめていて、余裕しゃくしゃく、若い衆をけむにまき、とっとと自分から布団部屋へ。この遊郭にお忍びでやってきた次郎長と子分の大政、小政。東海道にその名を馳せた大親分、清水の次郎長。水谷はここで、その後の次郎長とでもいうべき、大親分のかっこいいところでなく武骨で不器用な次郎長を登場させることで、従来にない「居残り佐平次」を展開していくことになる。

 このいけしゃーしゃーと、口からでまかせ、ほいほいと何でも請け負う、忙しい廓の細々とした若い衆の仕事から、お姉さんたちの内輪の用事までささっと聞いてのける、調子のいい佐平次、これがまた、風間杜夫うまいの。そうそう、佐平次だけど居残りなので「いのどんでよござんすよ」とお姉さんたちから「いのどん、いのどん」と呼ばれ、たった一日で廓中の人気者。
 一方、清水までの帰りにとちょっと一晩逗留するだけだった、次郎長親分が一番の売れっ子お梅に一目惚れ。風呂場で一緒になった佐平次に、お梅との仲を取り持って欲しいと頼んでしまったり。・・・と、ここのお風呂のシーンがよかったね。風間×平田、かたや居残り、かたや次郎長親分、だけどソレは隠密。気のいい旦那としか思っていない佐平次に酒をすすめながら、「江戸っ子かい?神田の生れだってね」「飲みねぇ、飲みねぇ」とお約束のセリフもありながら、この関八州じゃ一番の親分は誰だ?と質問される。なかなかでてこない次郎長の名前にしびれをきらしつつ、最後には「あの親分が一番だねぇ」を引き出し「飲みねぇ飲みねぇ」・・・この息の合い方は、数日の稽古だけでは出ないでしょうっていうもう、嬉しくなっちゃうとこですね。他にも、のちに、かくまってた娘がばれるとことか、色々ありまして、まぁまぁ、喜ばせてくれました。


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06月03日(月)
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