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ドラマ!ドラマ!ドラマ!
by もっちゃん
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■さだまさし「償い」について@本日のブロードキャスター
 シングルカットされたわけでもない『償い』は、一般にはほぼ知られていない名曲だろう。さだ企画には、その日、スゴイ数の問い合わせ、取材申し込みが殺到したらしい。私はこれがきっかけで、世の中の人がこの歌を聞いてくれる機会が増えるなら、よいことだと思う。もちろん、この当事者である2人が聞いて、やったことについてこれからについて考える材料、きっかけになれば、そして痛みとかわかろうとするようになってくれたら幸いだと思う。

 ただこの日のブロードキャスターで取り上げられた歌詞は「僕だけが知っているのだ彼はここへ来る前にたった一度だけ たった一度だけ哀しい誤ちを犯してしまったのだ」で、終っていたように思う。これは原因がどうであろうと、事故は事故だけど、このケースで取り上げられ、そのまま流されると、まるで、この曲の主人公ゆうちゃんも、若さの暴走みたいに取られるのは哀しいなと、思った。上の歌詞はこう続く「配達帰りの雨の夜横断歩道の人影にブレーキが間にあわなかった彼はその日とても疲れてた」
 だからって、言い訳にならないけれど、明かに、この事件の少年たちとは事件の抱えている質は違うのでは、と思い。書き足してみた。

 あとは全曲聴いてもらえたら、いいなぁと思う。『償えるはずもない罪』ということはゆうちゃんはわかっている。だからこそせめてもと彼は毎月奥さんに仕送りする。事情を知らない同僚に「貯金が趣味のしみったれ」とあざ笑われても、ただニコニコと笑い、郵便局へ急ぐ。7年経ったある日、奥さんから初めて手紙が届く。「ありがとうあなたのやさしいきもちはとてもよくわかりました だからどうぞ送金はやめて下さいあなたの文字を見る度に主人を思い出して辛いのです あなたの気持ちはわかるけど それよりどうかもうあなたご自身の人生をもとに戻してあげて欲しい」ゆうちゃんは事情を知る「僕」に泣きながら言う。『償いきれるはずもないあの人から返事がきたのがありがたくてありがたくてありがたくて』 
 「神様って思わず僕は叫んでいた 彼は許されたと思っていいのですか 来月も郵便局へ通うはずの やさしい人を許してくれてありがとう 人間って哀しいねだってみんなやさしい それが傷つけあってかばいあって・・・」と続く。奥さんはゆうちゃんの誠実に「許す」ことで救われたのかもしれない。ゆうちゃんは、奥さんに返事をもらったことで救われた。でも、ゆうちゃんはきっともし「許された」と思っても、『償いきれない罪』について忘れる事はないに違いない。それを抱えながら、自分のこれからの人生を『奥さんに送金する』という形でなく別の形で生きていくことに「せめて」という気持を忘れないだろう。そういう人だから、奥さんの心を解かしたのだろう。わからないけど。そうじゃないかなんて考える。

 難しい。人の痛みをわかること。傷つけたと知って償いができるかどうかということ。さださんの『最期の夢』をまた思い出した。

02月23日(土)
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