ID:3398
へそおもい
by はたさとみ
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■奄美大島の旅7(忘れそうになりながらもがんばって書きなぐる)
ウェットスーツをきる。
ウェットスーツって
なんだか
全身黒タイツの顔だけ
ぬいだやつみたいで
着ると
おかしな動きを
したくなる衝動が
わく服だ。
水中眼鏡とか
空気をすうやつとか
装着方法をおそわって
いざ海へ。
さっき
水面をつるつると
すべった
海の中へ。
わたしは
うみがこわい。
おおきすぎて
のみこまれそうで
こわい。
そもそも
水がこわくて
小学校3年生まで
もぐることが
できなかった。
クラスのみんなが
簡単に泳いでいる横で
水に顔をつけられず
水のなかに棒立ちにつったって
水面をじっとながめて
固まっていた自分を
おぼえている。
小学校3年のときの
夏休み水泳教室の
めだか組の先生だった
大学生のおねえさんに
指導されて
やっと
およぐことが
できるようになった。
それでも
まだ
あの
水のこわさが
身体のどこかに
のこっている。
だから
これまで
うみに
近づけなかった。
ひろみさんが
陸で火の番をしていて
天野さんが
海の中を
ガイドしてくれる。
身体のつかいかたを
おそわって
ぷっかりうかんで
海の中をのぞく。
海の中
水面の上と下では
別の世界。
のぞいてみると
こわさよりも
好奇心がさきにたつ。
魚がいる。
珊瑚がはえている。
みたことない形や色の
いきものたち。
うえからは
みえなかった
わたしが
知らなかった
世界がある。
すこしずつ
深いところへ。
大丈夫そう。
すこしこわいけど
こわいより
おもしろい。
岩には
いろんな色の
イソギンチャクの
なかまたち
繁華街みたいに派手な
色合い。
へんてこな動き
みえかくれする
いろとりどりのお魚たち。
ずっと
みてたい。
ゆっくりゆっくりと
深いほうへおよぎゆく。
知らなかった。
わたし
38年間いきてきて
うみって
こんなものって
しらなかった。
深くなると
雰囲気がかわる。
宇宙旅行のよう。
地球の海の中に
宇宙が
かくされていたんだ
これが
地球が
宇宙の一部だ
ってことの
証拠だ。
耳に
ぷちぷちと
何重にもぶあつい音が
きこえてくる。
「この音なんですか?」
「これは
イキモノたちのたてる音。
水の中は音が伝わりやすいんだよ」
すごい
たくさんの
イキモノの気配。
水は透明だけど
よくみると
白いつぶつぶが
たくさん
とけている。
春だから
プランクトンが
たくさん
水中にいるんだそう。
水の中に
命がひしめきあっている。
これまで
「母なる海」という言葉を
きいたことはあるけれど
ほんとうに
海は母だったのだと
やっと
身体で感じることが
できた。
しらなくて
ごめんなさいって
おもった。
人間は
自分の体験したことのあることだけを
基準に世界をみているけれど
自分がみたことのない
すばらしい世界は
たくさんあって
地球は
わたしがおもうよりも
ずっとずっと
すごくって
宇宙も
わたしが感知できない
壮大なシステムの中で
動いていて
もう
ほんとに
しらないのに
いろいろ
おもったり
いったりして
ごめんなさい
って
おもって
涙が
でてきた。
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04月09日(火)
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