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へそおもい
by はたさとみ
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■奄美大島の旅6(忘れそうになりつつもがんばってかきなぐる)
夏になると
オクラの花のような
きれいな花を
さかせ

それが
砂浜におちるさまは
とても美しいそうだ。


想像するだけで
しあわせな気持ちに
なる。

なんて
楽園なんだ。



ひろみさんは
ちょうどよい
形の石の上に
にんにくをのせて
石でたたいて
つぶしている。


天野さんが
ひろみさんに
声をかける。


「貝をとってくるよ」


わたしたちも
貝とりに
ついてゆく。


すぐそこの岩場
岩にくっついている
貝をくいっとはがして
左手に握る。

三人で
ほどほどに
とれたら

それを
ひろみさんの作っている
トマトソースにいれて
だしにする。


パスタは
海水を水で薄めたもので
ゆでる。


焚き火の火が
ちょうどよく
燃えはじめる。


「アオサとりにいこう」

またもや
ついていって
そぐそこの岩にくっついている
アオサをとる。


海水であらって
そのままたべてみる。

洗いたりなくて
砂がじゃりっとするが
海の香りがうまい。


そうこうしているうちに
海のパスタができた!


焚き火のすぐそばに
組んでもらった
テーブルと椅子にすわって
いただくパスタの
なんと
おいしいこと!





天野さんご夫妻と
いろいろな話をする。


「大阪に行ってね
 都会のほうが不便だね…って
 話してたんですよ。
 車とめるにも、待たないといけないし、
 駐車場代もかかるし。
 なにかとお金がかかるしくみになってて…」



きのうのほかほかご夫婦が
話していたことを思い出す。


加計呂麻では
魚とお野菜は
ほぼ自給自足。

移住したてで
畑をしていなかったり
畑が小さいおうちには
集落の人が
野菜を勝手においてくれるので

だから
わたしたちも
畑をしようっておもって
はじめた…
といっていた。


お金をつかうのは
安い家賃のほか
お米と調味料を
時折古仁屋まで
買出しにいくときだけ…と。




天野さんご夫妻は

できるだけ
先住民族のような
生活に近づきたい
という。



それ
とってもいい。

わたしも
近づきたい。


わたしからみると

おふたりから
野性の
おおさかさや
強さ
茶目っ気が
伝わってきて


もうすでに
そんな
生き方を
されているように
感じるのだが。




わたしは

いまは
都会にすんでいるので

都会の中に
居ながらにして
どこまで
野性にかえれるのか

実験中だ。


でも
この島にきてから


もう
わたしも
都会で実験するのはやめて

この生き生きした
自然の中に
とけこんで


野性の智恵を学びたい…と

その衝動が
ぐんぐん
ふくらんできた。




カヤックのことを
天野さんに
おしえてもらう。


きょう
わたしたちが
のっているカヤックは
アリューシャンタイプという
名前だそう。

太めでぼてっとしている。

アラスカあたりの人たちが
島々をわたる荷物をつんで
長くまっすぐ走るのに
適しているのだとか。

昔は
鯨の骨で骨組みを組んで
アザラシの皮を
はっていたと。


それを
スキンカヤックといって
まるで
イキモノのように
すすむのだそうだ。


旅に出る前に
アラスカを愛した写真家
星野道夫さんの写真エッセイ集を
よんだばかりだったので


あの写真と言葉から

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04月06日(土)
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