ID:31657
to Die
by 293とうめこ
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■やっぱやっちゃうよね
夜
明るく幸せに満ち溢れた世界は
紺色の深い海へと変貌する。
しかし
それは何の変哲も無い同じ質量の空間。
昼間とは何も変わりはしない。
ただつまらないだけ。
その紺色の闇の中に見える
まったく見えない真に暗い場所。
森の木の袂の影
公園の鉄棒の後ろの光届かぬ砂地
庭の生け垣と家の隙間
その真の闇をたたえるそこには
な に が あ る ?
その暗闇に目を凝らしてごらん
ほら
怖がらずに・・・・・・・・・
---VULGAR---
生臭い風が吹く日というのは
何かが起きる日なのかもしれない。
蒸し暑いのに背中がぞくりっと総毛立つ時
そこには誰かがいるのだろう。
堕威は背後をちらりと見る。
この年にもなって夜が怖いだなんて・・・
堕威はきょろきょろとしながら
自分の不甲斐なさにため息をついた。
堕威は物心ついた頃から暗がりがこわかった。
闇を目にすると動悸がはやり、寒気を覚えるのだ。
家でも光を付けて眠る程には、堕威は闇に怯えていた。
そして、血や肉を見るのも苦手だった。
献血はもちろん、生肉でさえも見れないのである。
今でも堕威はその事で友人にからかわれる始末である。
堕威は、それを自分の人並み以上の嗅覚や視覚のせいだと思っている。
堕威は人間にしてはおそろしく五感が鋭い。
物が落ちてくるのに対し、よけられなかったためしはないし、
遠くの音を聞きとったり、はやく動くものを目で追ったり
そういう五感動作が著しく突出していた。
そして堕威にはそれに見合う運動能力も付いていた。
鍛えたわけでは ない。
むしろ、堕威の体は平均よりも少し細めである。
堕威の運動能力は先天的なものであった。
そのアンバランスな2つの部分が彼の魅力であり、
彼の周りの物の愛すべき部分でもあった。
そうとは露知らず、堕威は小走りに歩く。
ーーー危ないーーー
第六感がそう告げていた。
歩いていると、道の先に大きな森林公園の入り口が右手に見えた。
堕威はそれを見てひくりと頬をひきつら、
そして足をおもわず止めてしまう。
森林公園の奥はここから見ても明らかな程に暗い。
暗いというよりもあれは塗りつぶされたと言ってもよい。
何の光も届かぬその場所はあまりにも現実離れして見えた。
「まじか・・・あんなんの前歩くんめっちゃ嫌や・・・」
堕威はそう一人ごちると、目をとじ、一つ大きく息を吸った。
っと、そのまま公園の前をだっと走り抜ける。
公園の入り口はけっこう大きい。
しかし、必死の堕威はそこを数秒もしないうちに駆け抜けてしまう。
・・・・・・・えっ・・・・・・・
自分でも信じられない程の俊足に気付き、
堕威は目を開け、足を止めた。
背後を振り返る。
自分の今来た距離を見て、堕威はあんぐりと口を開けた。
もう森林公園どころではない。
「剣道部やなくて陸上部行った方が俺はええんか・・・?」
自分の信じられない程の俊足に
つい、ジョークを盛らしてしまった。
そして、ふと森林公園の中を見る。
堕威はその時
これから先どんなに歳を取ろうともしないだろう程の
重い後悔をするのだった。
暗闇がノイズの如く蠢いている。
堕威の目の前で。
そしてそれは段々と膨張していく。
先程までは生き物の様だったが、
膨張するソレはまるでかすみの様にやんわいと・・・
だが確実に広がっていた。
堕威は一瞬、その闇に飲まれる錯覚を起こす。
逃げな・・・・・・!!
頭はそう警笛を鳴らすのだ。
だがしかし、いつもは俊敏なこの身が
今は捕らえられたかの如く動かない。
堕威はただその闇の一点を見つめる事しか出来ないのだ。
見つめていると、その闇は段々と形の様なものになっていった。
そして闇の中からキキキッという音波じみた鳴き声が・・・
そう思った瞬間、闇からおびただしい量の蝙蝠達が
一斉に飛び出してきた。
「うわっ・・・・・・!!」
堕威は驚きと衝動で背後に尻餅を付く。
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09月14日(日)
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