ID:26167
マシンガン★リーク
by 六実
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■雪あかりのまぶしさに誰も足跡をつけていない雪原に顔をうずめた。
「あては、おりょうはんがうらやましいんや。いやあんさんみたいな嫁はんもろうてた竜馬はんがうらやましい。のうなってからも、これだけ竜馬竜馬呼ばれるんや、男冥利につきますわ。天下の坂本竜馬にむかって言うのもなんやけど、ええ男はんやったんやろうなぁと思いますわ。おりょうはん見てると思いますわ」
おりょうはさらにうつむいたままだった。
「おりょうはん?」
店主は慌てた、自分の話をしていただけと思っていたが、いたずらにおりょうに思い出させてしまったのではないかと、うつむいたおりょうが泣いているのではないかと。しかし
「おりょうはん?……寝とる……おりょうはん!」
「うん、ああ、なに?もう話おわったん?」
「おりょうはん!」
「あーもう、おっさんの思い出語りなんて退屈でしゃあないわ。何言い出すのかと思えば、ぜんぜんうちに関係あらへん話やろ?」
「そりゃそうやけど、おりょうはん最後まで話きかへんし……」
「なんでお客が店主の話につきあわなきゃあかんの?ああー、もう今日は帰るわー……まあ、あんさんも『かわいそう』やね」
おりょうを慰めるつもりが、かえって同情されただけになってしまった事に、店主はため息をついた。
「ま、あんさんもうちみたいに『しあわせ』にならんとね。な」
「え?」
おりょうが笑った。
今しがたまで「しあわせでない」と嘆いていたおりょうだったはずなのに……もしかしたら、ちゃんと聞いていたのかもしれない。目が赤いのは酔ったせいではなくて、涙のせいかもしれない。しかしそれを確認することはなかったし、またしなくてもいいことだと、店主は思った。
「ほな、ごちそさん」
「ああ、おりょうはん。今日こそお勘定を」
「次来た時でええやろ?あんさんが『かわいそう』やから、またウチが遊びにきたる。そんときでええやろ?」
そう言われては何もいえなくなってしまった。
おりょうは言った。
「……おおきに」
それは、勘定の事ではなく、茶屋の店主の言葉への感謝のようで。
ちょこんと頭をさげて、顔をあげたおりょうの目はやっぱり赤くて、それでも笑顔を見せてくれたことに店主もまた笑顔で返した。
「……また、おこしやす」
おりょうはくるっと元気良くきびすを返していった。それは今まで店主が見送った千鳥足のおりょうでも、肩をおとしてとぼとぼと歩くおりょうでもなかった。はずむような足取りで小さくなってゆく背中を店主はずっと見送っていた。
「竜ちゅうより兎ですわなぁ」
天に昇った竜にむかって、ぴょんぴょん跳ねている兎。
おりょうの赤い目を思い出し、店主は笑った。
気がつけば、日暮れ時。真っ赤な夕焼けに店主はのれんを下ろした。
「明日も、きっと晴れはるねぇ」
++++++++++
しまった!竜馬伝SSだと方言縛りが!(かなりむちゃくちゃですごめんなさい)(しかも竜馬伝みてきた後だからいろんなものがまざってるよ!)ま、まあこんな金平糖がのっけから生まれた訳ですよ。
初見のときにしょっぱなからガツン!とダメだったのが、せっかくのトップ娘役お披露目なのに、るいるいがのっけから未亡人でしどけないみじめな格好で、それに結構へこんだんですね。でもそれを惨めと思ったのは、表面的なこちらの勝手な感想な訳で、おりょうちゃんが不幸だったかというとそうじゃないよなぁと。あれだけ竜馬に愛されたんだから、おりょうちゃんはきっと「しあわせ」なんだと。
うろ覚えの記憶で申し訳ないのですが、史実のおりょうさんも竜馬の死後はあんまりぱっとしなかったんですよね。正に初見で私が感じたああいうものだったと思うのです。でも竜馬伝のおりょうちゃんはきっと竜馬の死後もしあわせだったんだと思います。なんとなくイメージがその後のショーの老婦人に繋がるのです。きっとおりょうちゃんはおあばちゃんになっても「今でも好きよ、竜馬」と言っているような。だってほんと竜馬とおりょうはラブラブだったんだもん、ほんと新婚旅行の場面とか思い出すとニヤニヤするもん(そんな場面ありません)(いや俺の脳内では確かに上演されていた)。
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02月10日(土)
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