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マシンガン★リーク
by 六実
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■びよんどメモその3
結局のところ、ショー「Beyond the Door」は「Beyond the 水夏希」だったなぁと。ショーだから物語はなくてもいいんだけれど、そこに何かテーマを見いだすなら、「水夏希」だったと。そこには確かにこの三年間の水夏希の物語があった。夏希さんが扉の向こうの次のステージにいく為の物語。
逆を言うと、演出家・水夏希がショーを作るにあたって舞台に提示できるものはこれしかなかったとも言えて。創作にあたって多かれ少なかれ作者自身というのは作品の中に溶け出すものだけれど、夏希さんはストレートにそのまま出してきた。何か新しいものを生み出すわけでもなく、新しい世界を作り出すわけでもなく、自分自身を。あますところなく、体当たりで。
それは宝塚という有限の、男役という虚構の世界では絶対出せなかったものだよなぁと思うのです。宝塚時代は男役という虚構という枠で、自分の上にどんどん作りこんでいっていた訳で(そして夏希さんの男役像はその虚構のコーティングから夏希さん自身の人間性が浮き出して見えてきているのがとても好きだった)。
けれども退団後その虚構のコーティングは取っ払われて、そこに残されたのは「水夏希」そのもの。
それをこの退団記念日(そして女優としてのスタート日)である912にぶつけてきたっていうのもすごく興味深かったです。
そしてこれは去年にはまだできなかったことで、来年はもうこん風には晒せないかもしれない。
これって、じつは、すごいことだったんだと思うんですよね。
と、私は過剰に重いいれ(誤変換だが間違ってはない))(笑)てしまったので、なんともアレですがじゃあ逆にそういう思いいれのない人からみたらこれはショーとしてなりたっていたのかな?という一抹の不安があったりします。なんだかんだで客席はほとんどミズナツキファンな訳だし……それだから出来たことなのかなとは思いますが、それでもそうやって全身全霊で自分をさらけ出してきた事を私は評価したいなぁ。
なにはともあれ構成演出という媒体をつかって、自分自身を表現してきた、って事だと思うのです。だからこの人はやっぱりクリエーターではなく、パフォーマー(表現者)なんだと思うわけです。
もし2作目を作るとしたら、それは何を出してくるんだろうなぁ。これきりな気もするし、来年また同じように「Beyond the 水夏希」だったらそれはそれでまた今年と別のものが見られる気がするし、まったく違うものをつくるのでもそれはありだと思う。
個人的にはまた三年後ぐらいに、同じように自分自身をさらけ出すショーを作ってみてほしいなぁと。そのままライフワークになったらおもしろいと思う(あくまでテーマは自分自身で)。
今回のプログラムでオギーと対談しているのですが、その中でオギーが
「外の世界になじむのには10年かかる。熱いお湯に水をいれてすこしずつうめていくような」
「今まで男役として作り上げてきたものに、絵の具を混ぜるみたいにいかに本名の自分を溶け込ませるか」
と言ってて。
それは今回のこの「自分さらけだしショー」(言葉は悪いがほんとそうだと思う)にもつながるかなぁと。
身内イベントと言えばそれまでだし、それだからぶつけられたのもあるのかもしれない。
でもそれは今までには出来なかった事で。
だからほんとにすごいことだったなぁと、終わって振り返ってみて思うのです。
長い!重い!めんどくさい!(私が)(笑)
そんな重い思いを込めて「最終的に」すごくよかったという最初の発言につながります。ほんと最初の「仕事ないから自主公演」なネガティヴ発言からたいした飛躍だと思います(笑)。
ほんとにねー。屋根〜TATTOOにかけて何かをつかんだ感じがするし、この時点の水夏希をこうしてさらけ出してきたことも、なんというか、こう、一言でまとめると「大好きだ」ってね……
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09月29日(日)
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