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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■「GQ台湾」6月号・4
おしまい。
「自分が本当の俳優と言えるかどうかわからない」
その私生活は謎のベールに包まれていて、金城武の質問への答え方には
一種変わった遊離感があり、あたかもある距離を置いたところから、
冷静に観察しているように思える。
俳優以外の仕事をしたいと考えたことはないんですか、と聞くと、答えは、ない、だった。
好きではあるけれど、と彼は、演技することははっきりと生きていくための手段であって、
自分にとっての意味を特に考えたことはないのだと、率直に認める。
だが、自分は俳優である、と本当に認めるようになったのはいつからなのだろうか。
「自分が本当の俳優と言えるのかどうか、わからないんです(笑)。
いい俳優なのか、自分でもわからない」
映画は好きであるけれど、映画の本質はチームワークであることも
彼ははっきりと理解している。
「映画は1人で作るものではありません。
言えるのは、その空間に加わるときは自分ができることをきちんとやる、ということだけ。
その他のことはぼくは関係ない」
彼はシンプルな映画が好きだ。
シンプルなことを上手に映画にする監督の力量をいいと思う。
彼はアン・リー監督の初期の作品を例に挙げ、
またウディ・アレンの「ミッドナイト・イン・パリ」が、
本来ならアニメを使わなければならないような映画を、実写で表現しきった気迫を絶賛した。
「観客として、まずい作品とは思えない。これこそ技量です。脚本もいい。
彼もまたシンプルな話を語っているんです」
スターであることに慣れない
インタビューが半分ぐらい進んだとき、我々はずっと抑えてきた質問を投げかけた。
「17−8歳でデビューして、今日まで、人生の半分以上の時間を、
公共の人間として過ごしてきたわけですが、自分の身分に本当に落ち着けたのはいつですか?」
金城武は、インタビューの間で一番嬉しそうな率直な笑顔を見せて言った。
「あなたはぼくのこと、よくわかっていますね。まだなんです」
「本当は、あなたはずっとスターであることに慣れることがなかった、そうですね?」
「はい、慣れません。と同時に感謝もしています。
いい作品に出合っていい作品にして、
見る人が見てよかったと思えるものにできればいいと思ってます」
インタビューは終わった。
金城武は礼儀正しくみなに別れを告げ、来た時と同じように頭を下げながら去って行った。
その部屋を出ていく後姿を見ていると、来たときと比べ、
何か吐き出されて軽くなったような感じがした。
この、常に孤立し、人々の視界の外にある男性は、また彼にとっての快適な場所に戻って行った。
そして我々は、次に彼が水面にぽっかりと顔を出すときを待ち続けるのである。
(完)
2つ比べてどうでしょうか?
BBS ネタバレDiary 0:30
07月08日(水)
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