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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■雑誌記事(周末画報@)
もう1つご紹介しておきたいのは「周末画報」です。
雑誌も記事も、内容はそんなに変わらず、重複しているところも多いけれど、
ところどころ、他にはないことが入っていて、それが面白かったりするので、
外せないのです。

     

医学怪人金城武 SWORDSMEN

私生活を芸能界から完全に切り離すという点で、金城武は、おそらく芸能界随一だろう。
撮影に入れば、己をライトのもとにさらし、ステージに上がれば、ブランド品のために魅力をふりまく。
それが終わると、彼は完全に自分の私生活に戻り、一般人のプライバシーのように守られている。
本誌は彼の属する「武侠」撮影班に深く入り込み、
読者のために俳優・金城武の真の一面をお目にかけよう。

徐百九(「武侠」における金城武の役)は医学怪人であり、ならず者と言っても許されるくらいである。
なぜなら、彼のこだわりが、もう少しで人々の家庭を葬り去ってしまうところだったからだ。
「武侠」の撮影開始前、天秤座の「10万のなぜ」氏――
金城武はこの作品に出演するか、ずっと迷っていた。

「如果・愛(ウィンター・ソング)」、「投名状(ウォーロード)」と、
ピーター・チャンとの2度の仕事を経ても、
金城武はやはり、あの、質問が一番多い人間であった。
ピーター・チャンはこう言っている。
「金城武は大人しく本分を守っている俳優じゃない。
こんなに何度も一緒に仕事をしていても、毎回会うたび、いつも聞いてくる――
どうしてこの映画を撮りたいんですか?
どうしてこの映画にぼくが必要なの?
どうして他の人が演っちゃいけないの? とかいろいろね」

「直感が、彼だ、と言うんだよ。だけど、ぼくもなぜ彼なのか説明できないんだ」
ピーター・チャンは、金城武の様々な、尽きることない「なぜ」に直面すると、
正確な答えは返してやれない。
とうとうどうしようもなくなって、無駄口をたたくのはやめ、
彼を飛行機に押し込んでから、また話すことにするのである。
撮影班が南騰衝に入ってクランクインしたその週、金城武はずっと疑問を抱き続けていた。
脚本を疑い、役を疑い、ピーター・チャンを疑い、さらには自分自身を疑っていた。

ある日のこと、彼は思いもよらぬことに、ピーター・チャンにこう尋ねてきた。
「四川方言を試してみませんか?」
この、全くチャウ・シンチーばりの非論理的な提案が、
不思議なことに生き生きしたドラマ性を引き出すことになった。
「心を決めると、すぐに四川方言で話し始めました。
正しい発音じゃなかったけれど。
現場にいた四川の人に頼んで、一言言ってもらい、ぼくがそれを繰り返すというように、
わけもわからずついて話すというのを2日間やりました。
3日目に、成都から特別に旅行ガイドの人を先生役に呼んでくれたんです。
そうしたら、なんと現場のスタッフの四川語とガイドさんの四川語の発音が違っていたんですよ。
それでぼくは混乱してしまって。一体どちらが正しいの? ってね」
彼はこうまとめた。
「ぼくの四川語は、ミックス版ですよ」

彼は努力した。
2日前に台本をもらい、先生にMP3に台詞を吹き込んでもらって、繰り返し聴き、
すらすらと暗唱できるようにした。
発音のことで、撮影チーム全体の仕事を遅らせたくなかったからだ。

ピーター・チャンは言う。
「彼のなぜ≠ノはもう慣れた。
すべて、ぼくがそれまで考えたことのなかったことばかりなんだ。
しかし、ぼくはそういう難問をぶつけられるのが好きだ。
脚本家とぼくに刺激を与え、映画にもっとふくらみを持たせてくれるからね」

彼のようにうるさいと、俳優としては2度と使ってもらえないことがほとんどだ。
金城武を除いては。
ピーター・チャンは内地に進出してきてからの6年間に3本映画を撮っているが、
「金城武」の3文字だけが、ラストのスタッフロールから未だに消えていない。
外部の者にはこれは全くわけがわからないし、説明もできない、
監督と俳優との間の安全感なのである。
俳優の監督への信頼は理解しやすい。

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08月22日(月)
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