ID:23473
武ニュースDiary
by あさかぜ
[6278319hit]

■GQ取材記F
長い後半の翻訳にとりかかる手が止まるようなできごとが!
筆者の方莉さんがこの翻訳を見て、ブログに記事を書いているのだが、
なんと、方莉さんは日本語がとっても上手な人だったのだ!
いくらほめてくれたとはいえ、緊張して筆が止まってしまいました。
でも、メールで話もさせていただき、もう一度気合いを入れて再開です。


イメージ

「LOVERS」の録音技師である陶爺(陶おじさん)が初めて金城武に会ったのは、
ウクライナでのことだった。
「彼は入ってきて戸口に立っていた。長い髪が肩にはらりとかかり、
米軍の軍服のような服を着ていた。
そこにいた若い女性たちの胸はばくばくして舞い上がったと思うよ――
彼の姿は人の心を揺さぶるんだ。確かに――びっくりするほどかっこいい」
陶爺は回想する。
「今まで見た中で、唯一、アニメからそのまま飛び出してきたようなスターだよ」
「生身の人間じゃないみたいなんだよ。独特の神秘的な雰囲気があってね」
そのとき、陶爺が自分の印象を金城武に直接話すと、金城武は声を出して笑ったという。

「映画は、まず姿が必要だ。それは天からさずかるものだ。
次に物語のレベルが高くなくちゃいけない」と陶爺は言う。
「金城武のような“どう撮ってもハンサムな”男優は今は少ないね」

「ぼくの外見がいいって言ってるの? ぼくに騙されてるだけだよ」
金城武はまじめくさって言う。
「姿の善し悪しはね、たぶんこういう仕事だから、目立つので、強調される機会が多いんですよ」

「イメージがいい」と「演技がうまい」と、どちらを評価をされるほうがいいかと尋ねると、彼は即答した。
「どちらも誉めているんでしょう、どっちもうれしい」
すぐに一瞬考えて、
「肩書きは人が決めるもので、姿がいいと言われようが演技がいいと言われようが、
いい評価でありさえすれば、この業界で、より多くのチャンスを得る大きな助けになります。
扉を開く鍵のように」

16歳でデビューするとすぐ芸能事務所と契約した。
まだ幼い高校生の人生は完全に一変した。
ちょうど新生児の誕生のごとく、芸能人としての人生がゼロから始まった。
その母親はすなわち、スター養成に長けた芸能事務所である――
彼女は彼の名前を、中国人が受け入れやすい「金」姓に巧みにスライドさせたのだった。

「彼は自分のイメージを保ち、人々の自分に対する期待を維持しなくちゃならなかったんじゃないかな。
それは昔は彼にプラスに働いた。
事務所も、他の人たちとはある距離を保つように言ったのかもしれない。
いずれにせよ、彼は自分のイメージに非常に気を遣い、
知り合いと食事をするときには、写真を撮らないでほしいと頼んでいたものだ」
陶爺は金城武をそう語った。
「私が思うには、彼は有名になって以後、そのもともとの気質と個性を
基本的には極力もともとのままに保ってきた。現実には、自分を閉ざし始めたんだよ。
彼自身と、その気恥ずかしいと感じる気持ちは関わりがあり、本人もそれがきらいではないのだ。
月日とともに、1つの公式となり、彼が演じる世間に対する決まったイメージとなったんだ」

この気恥ずかしさは、あるいは己を知る聡明さからも来ているのかもしれない。
陶爺のことを話すとき、金城武はそわそわしながら尊敬の念をもらす。
あたかも何か神のシンボルのことを語るかのように。
彼は以前、自分の出た映画「ターンレフト、ターンライト」を陶爺に見せ、意見を求めたことがある。
「自分の映画はめったに見ないですね。
見るときでも、映画全体の撮影のスピードとか角度とか、そういう他のものを見てしまう……
やっぱり恥ずかしいです、映画の中の自分を見るのは」
彼は言うのである。

インタビューの間、彼は何度も自分は演劇学校出身でないと口にした。
演劇学校出身の俳優と共演するときは、プレッシャーを感じてしまう。
「あの人たちの演技は真に迫っていて、『投名状』と『赤壁』の撮影では、
中国の有名な俳優が大勢出演していて、話や話しぶりだけで、もう違う。

[5]続きを読む

03月04日(木)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る