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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■GQ取材記E
おたく

彼は、かなり以前から蔡志忠のマンガを読んでいる。
老荘思想に触れるには一番簡単で直接的な方法だ。
「ぼくは中国語も下手だから、初め老荘の本を読んだときは、
わー、意味が分からない、状態だったけど、
マンガから入ると、すごく面白いんです」
少し前、初めてテレビで動いている蔡老人を見た。

「とても芸術的な先生でした」
金城武は蔡志忠がテレビで語った話をほとんど全部覚えていて、
テレビでの蔡志忠と司会者との対話を、敬意をこめ、本物そっくりに真似してみせた。

「彼の話したたくさんの考えを聞いたら、きっとそのとおりだと思うと思いますよ。
司会者が質問したんです、子どもをどんな風に教育しているのかって。
その日のインタビューのテーマは次世代教育だったので。
蔡さんは、娘にはいっさいプレッシャーを与えないのだと言いました。
娘が勉強ができなくて乞食になろうと、それはかまわない。
自分にとって娘は体の一部にすぎない、とね。
ほとんどの親はグチをこぼすでしょう。
ぼくは、こうした考えこそ老荘の考え方だと思うんですよ」

ただし、蔡志忠の、十年一日がごとき「午後6時に眠り、深夜1時に起きる」という
生活スタイルには「ぜんぜん憧れない」。
「ぼくの生活とは相反するのでね。
憧れじゃなくて、ぼくが言いたいのは――蔡先生の答えがすごくおかしくて、
面白いってことです。
彼はたくさん本を出していて、たくさん稼いでいるから、
娘が金目当てで誘拐されたりしないか心配じゃないかとみんなに聞かれるんだけど、
彼は、NOと言うんですよ。
娘には、もしいつかお前が誘拐されることがあっても、
父さんは助けに行かないよと言い聞かせてる、
もう1人子どもを作る方が都合がいいから、お前は自分の運命だと思いなさいと。
すごく面白いと思いましたね。これは哲学だと思います?」

「テレビはほとんど見ないけれど、印象深かったもののことはよく覚えてます」
と金城武は言う。彼はネットショッピング番組まで観るのだ。
しかも興味津々、テレビ画面と会話するかのように――
「わあ、このほうき、最高じゃないか。早く買ってもらおう。あの洗剤も。
今電話で申し込んだら割引価格になる? 急がなきゃ。これは逃せないぞ。
よし、試しに買ってみよう」
テレビでレストランが紹介されると、
「推薦された店には全部行ってみます。
時間を見つけて友達と一緒に試しに行くと、ほんとにおいしいんです」
それで大喜びするのである。

「彼は、つまりおたくなんだ」
金城武をよく知る友人の黄連は、そう彼を評する。
彼は金城武のおたく傾向をこう説明する
――1人でいる、ゲーム好き、マンガを描く、お茶を飲むのが好きで、
スポーツをしない、街に出かけるのがきらい。

「ホテルに1人のときは、ゲームのコントローラーをいじっています」
金城武は両手でゲームをする仕草をした。
自分の姿をとりこんだ「鬼武者」を、彼は「気分がいいし、光栄だと感じる」と言う。
「ゲームをしているときはとても楽しい。もともと好きだから。
ほら、自分の顔があるでしょう。それに最高に面白いし。
武器を自分で振り回さなくても、他の人がやってくれるのは、すごいと思う」

彼が最近研究中なのは、インド人の九九の計算法である。
「公式が1つあれば、例えば34×75の答えが一瞬でわかるんですよ」
DSをしているときに、彼はインド人の頭の良さの秘密を発見した――
「公式があったんですよ! わー、ほんと? わかったよって思いましたね」

ネットもする――ネットで「ゲームをする」のである。
「LOVERS(十面埋伏)」のオンラインゲームはやったことがないが。
あとは「メールで私的なことや社会の話題を話したりする」ぐらいである。

「自分の中で一番嫌いなところは――怠け者のところ」
金城武はパッと笑顔になった。
「怠け者なところが気に入っているみたいでもあるかな」
「『投名状』の撮影中は朝4時起きだったんですよ。

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02月27日(土)
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