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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■智族GQ12月号C
これでおしまい。


金城武がニューヨークに滞在中、2人は毎日のように会った。
「彼は1人で、付き人も連れず、とても質素なランク外のホテルに泊まっていました。
チェックのシャツを着て、サングラスか普通の眼鏡をかけていました。
酒場に入るときは、もう1人の、やはりニューヨーク在住の高校の同窓生に、
人が多すぎないか先に見てもらってから入ったものです」

そういう夕べは、正煕とニューヨークの同窓生の印象に強く残っている。
3人ともとてもウマが合い、金城武は明るかったが、
普段はいつもこうではないだろうなと感じさせた。

あるとき、relationshipの話になり、彼が正煕に彼女がいるかと尋ねた。
正煕も同じ問いを返し、2人は声をあげて笑った。
どちらも「時間がない」を言い訳に、その話はさっさと切り上げた。
別れる前、金城武は正煕にタクシーで行く方法を真剣にたずね、
かかる費用をじっくりと比較していた。お金には非常につつましく見えた。

それ以来10数年会っていないが、あの再会を、
正煕は自分自身の経験からこう説明する。
アメリカンスクールの同窓生は、別れた後、この世のどんな所に行こうと、
みな1つの共通点を持っている。
ハイスクール時代の友情にもっとも帰属感を覚える、ということだ。

「大学の友人はみんな不思議がりますよ、
どうして君らは高校時代の友達といつまでも連絡を取り合ってるのかと。
ぼくたちみたいな経歴と背景を持たない人なら、
一番親しいのは大学時代の友人だと思います。
でも、ぼくにとっては、高校の友達が一番親しい感じがする。
今は興味も仕事も多分みな違っていると思うけれど、
それでもみんなに会うと、時は経ってないと感じます。
あの学校の卒業生で、高校時代の友達と結婚した人は、身近に大勢いますよ。
国外から来た子どもたちが台北に暮らすとき、この高校はもう1つの家なんです。
ぼくたちは自分たちの世界に暮らしていました。
この体験は、高校の仲間でないと、本当には理解できないでしょう」

学校を出てからは、全然スポーツはしていないと、金城武は笑った。
当時の台北アメリカンスクールは一群の他とは違う子どもたちを育て、送り出したが、
彼らにとって重要なのは、そういう違いではなく、
かつて成長過程のある長い一時期、この場所が,、
自分が他と違っていることを決して感じさせなかったということなのだ。
彼らが青年時代を送ったあの世界は、ファンタジーの力で、
自由、平和、時間、美といったものを、今も与え続けることができるのである。

その世界に、金城武は高校3年の終わりまでいることはなかった。
彼の出演するCMがテレビに流れ始めてからまもなく、
キャンパスから完全に姿を消した。
いわば、部屋でみんなと一緒に大人になる準備をしていた子どもだった彼は、
門を押し開き、一足早くその部屋から出て行くことを余儀なくされた1人だったのである。  (完)
(智族GQ 2009年12月号)


この記事は公式サイトやニュースにアップされていたのではなく、
大陸のファン、北京猫さんが自分で打って、上げてくれたものです。
感謝します。

記事の筆者は方莉という人。名前からは女性だと思います。
この人が自身のブログに取材裏話を書いているので、それもついでに。
原文はこちらです。


「GQ」インタビューエピソード

金城武の話す声には深い溜息が交じっており、日本語の影響をうっすら感じさせる。
声は低く、発音ははっきりと正確だ。
果たして端正な顔だち、深い瞳、息苦しく感じさせるほどの男前の人だった。
浅黒い肌は健康で穏やかな輝きをたたえている。
言葉やアイデンティティの問題をしばしば口にしたが、
熱心なようにも、うんざりしているようにも見えた。
そういった意地悪で抽象的な問題に直面すると、
彼は突然、ごめんなさいと言い、一種、うきうきしたような、
かつ哀願するような声で尋ねるのだ。
「あなたがぼくなら、どう思います?」
彼は情景描写が巧みで、声もよく、情緒もたっぷり。

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12月23日(水)
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