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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■NDDの頃F
霧から抜け出て、死ぬほど疲れてF

何人もの違った監督と仕事をしているけど、その経験を聞かせてくれる?
例えばウォン・カーウァイとは?

武 実はね、ぼくはパイナップルがずっとダメなんですよ。
ウォン・カーウァイはとても特別で、とても聡明な人。
脚本家の出身なので、とても物を書く力がある。
ぼくにとって3作目の映画が「恋する惑星」でしたけど、
彼の映画に出て、たくさんのことを学びました。

それは、彼が、絶えず考えに考えなくちゃいけないような環境に
ぼくらを置くからなんです。
ほとんど何もわからない、うまく考えられないという感じで、
撮影が全部すんだときになって、
ぼくは初めて映画に対する興味が湧いてきました。
というのは、彼との仕事が終わって初めて、
映画っていい加減に撮っているようでも、
構成していくことで映画になると知ったからです。

「天使の涙」は実は「恋する惑星」の続編で、
本当はぼくの役はなかったんですよ。
「恋する惑星」は3つのストーリーがあり、
3番目が殺し屋の話のはずだったんですけど、時間がなくなってしまった。
でも、彼は殺し屋の話が撮りたくて、だけど殺し屋だけじゃ足りないから、
ぼくの役ができたというわけ。

それに「天使の涙」の台本には、ぼくのセリフはなくて、
そこで何をしているのかわからない。
でも、わけのわからないぼくの役にも、やっぱりストーリーはあるんです。
「恋する惑星」には別々の2つのストーリーがあったけど、
「天使の涙」の場合は、交錯する2つのエピソードでできている。
「恋する惑星」のエピソードが「天使の涙」で、
「天使の涙」を2つの話に分けたのが、つまり「恋する惑星」。
彼はすごく特別な構成の仕方をしている。
この映画はでたらめに撮れるけど、
でもやっぱりウォン・カーウァイの精神が生きている。

ぼくの初めてのキスシーンが「天使の涙」にあるんですよ。
2回、1回はチャーリーと、もう1回はミシェル・リーと。
でも、両方ともカットされちゃった。
チャーリーとのシーンはぼくはとても好きで、
背景も雰囲気もすごくロマンティックだったのに、
カットされてしまっていた。

ぼくは、なぜなのって助監督に聞いたんですよ。
そうしたら、助監督は、自分ならこうカットして編集するっていうのを話してくれた。
それで、わかったんです、編集する人がどう編集しようと思うか、
どんなモノローグを書いて画面と合わせようと考えるか、
その考え方次第なんだって。
編集にはその才能が必要なんだってことをね。

ウォン・カーウァイの映画を、ぼくはまだわかっていない。
その2本しか見ていないから。他は全部見てないんです。
それは彼のやり方がわかって、他の俳優に影響されたくないからです。
ぼくはいつも違う演技をしたいと思う。
この人のやり方は承知しているから、ただ自動的に彼がほしいものをやる、
そういうやり方はしたくないですね。

自分の出た映画は全部見てる?

全部見ますよ。いいものはあまりないけど。

自分ではどれがいいと思ってる?

それって、何が良くないか言うのと変わらないよね?
クリストファー・ドイルをまねて、こう言いますよ。
「一番いいのは次の作品」(爆笑)
朱延平のシリーズに、割と好きな「危険な天使たち」という、
ニッキー・ウー、チャーリー・ヤンと共演した映画があります。
これは一番おかしい映画。

自分が出た映画を見て、その映画が伝えたいものを感じとるって、
すごく難しいんです。だから別の見方をする。
例えば、監督はなぜこんなふうに編集したのかとか、
普通の観客があまり見ないところを見ます。
だけど、「危険な天使たち」のときはずっと笑いっぱなしだったんです。
「天使の涙」もそうでしたね。

ウォン・カーウァイの映画はちょっと独特で、
撮影中は他の部分はどうやっているのか、全然わからない。
だから、他の人の出てるところや、

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06月26日(日)
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