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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■愛さずにはいられない(中国BAZAAR)・3
昨日の続き。あと1回です。
このBAZAARと、先日のVOGUEの画像を、
にゃおさんがきれいにまとめてくださいました。→こちら
しかし、金城武のエトランゼとしての息吹を真に掘り起こした監督は、
リー・チーガイだと、私は思う。
「不夜城」は完全に金城武にアテて作られている。
この映画の劉健一は黒社会の一員で、父親は日本人、母親が台湾人。
新宿の歌舞伎町の裏街で生き抜こうとあがくが、
血筋のせいで両方の派閥からはじきだされる。
最後に彼はヒロインの山本未来を愛するが、彼女を殺さねばならぬ羽目になる。
「不夜城」の金城武は生への欲望をギラギラさせ、
ただこうもりのように、闇夜、頼る先を捜し求めるのだ。
日本でブームを巻き起こしたこの映画こそ、
金城武の、日本での順調なキャリアを決定付けたものであり、
また彼の辺縁人としての特質と、一匹狼ぶり、
そして傷だらけの心とを余すところなく表現してもいる。
リー・チーガイのもう1つの映作品「世界の涯てに」では、
金城武は探し物業の若者、ナーハオチュンに扮する。
「ぼくの名前はナーハオチュン。ナーは姓じゃない」
この人物のユニークさは、まさに香港のモンゴル人の不思議さだ。
この役は金城武にしか演じられない。
人のために失くし物を探すことの頼りなさと
「探し物は表面だけ見て考えても見つからない」という
一見ナンセンスに見えるまじめさは、
どれも金城武自身の、浮遊し、執着する気質とぴったり符合している。
彼が探しているのは愛である。
他人の愛、そして自分自身の愛でもある。
映画の後半で、舞台はスコットランドに移る。
その冷たく厳しい、灰色の薄暗い画面に、
スコットランドのバグパイプの音が響き、どこまでも静かな感じを与える。
あの、楽園の歌が絶えず心に浮かんでくる――
今知った、楽園を待ち望む必要はないと
心の中にあったのだ
楽園、それは愛
「世界の涯てに」における金城武の演技は、最も本領が発揮したもので、
私達に彼の別の側面――善良さ、清新さ、敏感さ、
豊かな感情、愛を守り抜く――を見せてくれる。
1993年、「恋する惑星」、金城武20歳。ひとりごとをつぶやく。
2003年、「ターンレフト ターンライト」、
彼は30歳、相変わらずひとりごちている。
相変わらず、笑顔は緊張気味で、
ラブシーンとなると、いつも頭が痛い。
全身が躍動する疾走から肩を10度から15度揺らす歩みに至るまで、
彼が大人になり、丸くなり、
余裕しゃくしゃくになったなんてことは全くないようだ。
彼は小さなことを心から楽しむ。
最愛のUOで先に進めた、新しいクリーム色の電話機を買った、
フグ、あるいは大好きな臭豆腐や牛肉麺が食べられる、
それがうれしい。
La Tarahukuの日本式焼肉も好きだ。
そして南極から帰って半月もんもんとしたあげく、
やっとサーフィンやダイビングに行けたとき。
犬と小動物が大好きで、あるCM撮影で豚がいっぱいいたとき、
彼はかわいい1匹を抱き上げて、キスしたのだ。
彼の心が沈むのは、こんなことだ。
ニュースは嫌い。
なぜなら世界中で暗いことが起こっていて、
至るところ、泥棒や殺人や暴動や政治があるからだし、
自分のホームページを作るのに、専門書をたくさん読まなければならない。
レストランで食事中に、盗み撮りをされたことがある。
情人節に、彼がもらうべきチョコレートが、
全部、近所の同じタケシという名前の人のところに配達されてしまった。
彼が1番好きなのは、子ども時代を思い出すことで、
当時歌った童謡をよく歌う。
覚えているのは、小さい時のおねしょ、兄とのけんか、
コインをのみこんで医者に運ばれたこと、
畑の芋を盗んで焼いて食べたこと、母親に革のベルトでたたかれたこと、
さらには、顕微鏡を買ってくれとだだをこねたことや、
拳法の練習のために父親が柔道着を買いに行ってくれたこと……
この、成熟と成功とを追い求める都市の中にも、
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11月18日(木)
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