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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■愛さずにはいられない(中国BAZAAR)・2
続きです。
う〜長い。
しかし、まだ続く。

彼はインタビューがきらい、騒がれるのがきらい、
香港台湾マスコミのやり方がきらい。
映画のプレミアに姿をみせないことが多く、記者会にはいつも遅刻だ。
人前で歌ったり踊ったりしようとしない、
映画祭だって全然重要視していない。

彼は言う。
「映画祭でスターが派手派手しく姿を見せても、でも誰も映画は見に行かない。
なら、行かなくたって同じじゃないだろうか。
映画はこんな不景気なのに、
あんな派手な映画祭をするべきじゃないんじゃない?」

彼にとっては、芸能界の仕事は弁当屋を開く≠謔、なものなのだ。
開店すればその日は頑張るが、売れ行きが悪くても、
食えないのでなければかまわないし、
店を閉めることになったからって痛手というほどではない。

彼は芸能界では稀に見る、裕福な暇人だ。
日本にいてゲームをし、マンガを読み、
好きな哲学や仏教の研究をし、紅葉や雪を楽しむ。
手ずからハンバーグやステーキを焼き、
本当に何もすることがなければ毛筆で写経をして、
自分がスターだということをすっかり忘れている。
「ぼくはお高くとまっているように見えるとよく言われるけれど、
本当は無気力なだけ」

乗っている車で、その人の人となりがわかるものだが、
金城武は昔ながらの型の、実用性を重視したワゴン車(?)を好む。
きらびやかで高価なスポーツカーが、多くのスターはお気に入りだが、
金城武は少しも心動かされない。
恋愛についても同様だ。
スキャンダルを、嘘だろうと本当だろうと利用して
話題づくりをする芸能人はわんさといるが、金城武は一貫して慎み深い。
「愛情は完全にぼく個人のことで、公の場に引っ張り出して、
みんなの目にさらす必要のないものです。
そんなことは、ぼくにとっても相手にとっても、すごく不公平だと思う。
恋愛がうまく行かなくなるのには、たくさん理由があるだろうけど、
でもそれが、ぼくが芸能人だからというのはいやですね」
と彼は言う。

金城武にとって、いついかなるときにも、
自分の生活をし、自分の道を歩き、真に自然な人間であることこそ、
何より大切なのだ。
彼は控えめさと尊大さを使って城を築き、
1人の男としての尊厳をかたくなに維持する。
また自身のしっかりした心の世界を堅く守りもするのである。

15歳でスカウトされたとき、彼はアメリカンスクール高等部在学中だった
(この学校の自由な雰囲気が、彼の束縛を嫌う性格を育てたのでもある)。
キーウィジュースのCMは、彼が深く考えることなしに、
ただバイク代を稼ぎたくて出たものだ。

金城武の幼年時代は楽しく、少年時代は孤独だった。
幼年時代は母方の祖母にかわいがられ、なまけたくなると、学校に行かず、
祖母はそのために嘘までついてくれた。
何よりも懐かしいのは祖母の作ってくれた鍋料理だ。
お金をくすねたり、騒ぎを起こしたりして厳しい父親にきつく叱られても、
相変わらず愉快に日を過ごしていた。

中学に進んでからは、順調な日々とは言えなかった。
台湾人のクラスメートは彼のことを日本人だと言い、
日本人は台湾人だと言う。どちらにしても遊び相手がない。
大人になってからも、このような問題にいつまでも直面している。
内地の人間は彼を日本人だと言い、日本人は香港人だと考えている。
香港人は彼は台湾人だと思っている。
このことが彼からいつも安全感を奪い、
自分の静かで小さい世界にいることを好むようにさせているのである。
今も、金城武はインタビューにはとまどって言葉が出てこないが、
それはただ、何語で話すべきか考えているだけなのである。

金城武はこう話す。
「ぼくが中国人でも日本人でも韓国人でも、それが何なの?
1番大事なのは、自分自身じゃないだろうか? 
どの土地に生まれたかで何人かが決まるという。
なら、1000万年前にも、この場所は何々国なんて
誰かが決められたの?」

彼は傷付き、苦しみ、困惑している。

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11月16日(火)
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