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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■「南方人物周刊2017-4-24」 金城武の隠れ身の術・3
しかもピーター・チャンはプロデューサーで、監督はしない。
彼は弱気だったが、なんと金城武は快諾した。
4回の中で、一番順調だった。
なぜ、今回はすぐ引き受けたのか、金城武はこう答えている。
「チャン監督が、優秀な編集技師が監督で、
2人の優秀な若い人が脚本担当だと言いました。
そのとき、もし自分が参加することで、
チャン監督を助けられるならいいなと思ったんです」
ピーター・チャンは、彼が知らない人の前では不安になることを知っていたので、
「私は毎日いるから、どんなことでも私に話してくれ」と言い、
少しでも安心感を持たせようとした。
しかし、金城武は早くから直接監督のところに行って
コミュニケーションをとるようになったので、
ピーター・チャンが間に立つ必要はなかった。
脚本についての話し合いに初めて金城武が参加したとき、
2人の若い女性脚本家、許依萌と李媛は、まだちょっとバラ色の心地の中にいた。
彼が1枚の紙を取り出し、質問を山ほど提出し始めた。
苦難の道は始まった。
2カ月近くの撮影の間、許依萌と李媛は毎朝起きると、
まず金城武の撮影が何時からかをチェックしに行く。
2人は早めに現場に行き、彼とその日の撮影について討論するのである。
普通、“覇道総裁”物の作品は、主にヒロインの視点から描かれ、
総裁は神様のような存在として、ヒロインと観客を振り回し、
リアルさはそんなに要求されない。
だが、金城武は賛成しない。
映画は主人公、路晋(ルー・ジン)が、ホテル買収を検討する過程で
美食を楽しみ、恋をするのを描くが、
金城武にとっては、主人公が具体的に何を観察するのか、
その過程はどうなているのか、知らねばならず、
ただ、それらしいポーズをとってすませるわけにはいかなかった。
ルー・ジンがビーフ・ウェリントンを試食するとき、
「牛肉とパイ皮の間のキノコソースは、ポルタベラ・マッシュルームではなく、
ブラウン・マッシュルームを使うべきだ」という台詞がある。
金城武はブラウン・マッシュルームとポルタベラ・マッシュルームは
どこが違うのか、知りたがっているので、
2人は出まかせを言うわけにはいかず、マッシュルームの写真を探し出して、
比べながら彼に説明せねばならなかった。
頭では、こういう彼の要求は正しいと、2人はわかっていたが、
毎日このような苦難が続くと、パンクしそうになった。
同じような苦しさは「擺渡人」の監督、張嘉佳も体験している。
「こんなに大勢の出演者の中で、一番恐ろしいのが金城武だった。
毎日大きな目を見開いて、なぜ、と尋ねてくるんだよ。
とうとうある日、彼はぼくのところに駆けてきて、こう言った。
ぼくを怖がらないでください、ただ真面目にやってるだけですから、とね」
ここ10年ほど、金城武は、ほぼ、以前仕事をしたことのある
監督の映画にしか出演していない。
彼は、意識的にそうしているわけではない、
ただ、一緒に仕事をしたことのある監督から、また依頼があると、
こう考えて、うれしくなるのだと言う。
「あんなに面倒をかけたのに、またオファーしてくれる。
ということは、ぼくのやり方を受けて入れてくれたってことだ」
高暁松は金城武と一日、あるシーンで共演してから、
彼を自分が以前仕事をしたことのある陳道明(チェン・ダオミン)と並ぶ
“芝居を知り尽くしたベテラン俳優”と言うようになった。
撮影開始の前、金城武は、よく、このカメラは何ミリかと尋ね、
演技に入るときには自分が画面のどの位置に来るのか、
前景の様子、背景の様子を、知り尽くしていた。
サングラスをかけて演技するシーンで、
金城武は演じるときに、わずかに首を傾けていた。
高暁松はどうしてそんな風にするのかわからなかったが、
カメラマンの方を見ると、そばで親指を立てていた。
実は、金城武は、現場のライトや機器やスタッフがサングラスに映り込み、
カメラがそれを拾ってしまわないようにしていたのである。
(続く)
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06月25日(木)
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